ひと味
□小指
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「約束ね!」
「あぁ」
「ね!」
「…なんやその指。それでコーヒー飲んだら許さんで」
幸昌の机のから、みやのは何度も念を押し、最後には痺れを切らしたように小指を出した。
「馬鹿なこと言わないで」
「ボケやって。つっこまな、ここは」
みやのは無視して小指をさらに幸昌に近づけた。
「指切りするほどのことちゃうやん、一緒にノート出しに行くくらい」
「い、良いじゃん。ほら、幸昌も指出してよ」
少し顔を赤らめながら、もう片方の手を出して、催促する。
「お前、もしかして」
「何よ」
「小指繋ぎたいだけなんちゃう?」
みやのは言葉に詰まり、そろりと小指を立てた手をしまおうとした。しかし、幸昌の小指がみやののそれを絡めとった。
「あほやなぁ。ほれ、ゆびきりげんまん、な?」
繋がれた小指の向こうで彼が笑うのが見えた。
→おまけ