いろいろ
□猫は
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なぞは猫だ。
雄でおとな、けどちっちゃい体の自称親玉。
野良である。
でもそう言わない。
人間なんかに飼われちゃいないんだって胸を張る。
「最近は飼い猫が多くてどうにも気に入らん。
俺らのプライドはどこにいったんだ。」
これがなぞの口癖で、野良仲間によく講じている。
たまにやって来る家猫は、逆に自慢げになぞに言う。
「いやいや、なぞさん。
僕らは人間を上手く利用しているのですよ。
飼われてなんかいやしません。
くれといえば食べ物を差し出すのですから。」
野良猫のうちの一匹がそれに口を出す。
「しかしさ。
猫ってのは獲物を自分で捕ってなんぼじゃないんですかい?
子猫じゃねえんですから。」
「分かっていないですね。
頭と人間を使って手に入れているのですよ。
大差ありません。」
そう言うと、飼い猫は尻尾をふりふり帰っていった。
「なぞ」
「そんなもんかねえ」
なぞは呟いた。
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