短編
□†1番好きなのは†
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「坊ちゃん。そろそろ彼女を離して下さい。彼女にはまだ仕事が残っているんです。」
セバスチャンさんが坊ちゃんの部屋に入ってくるなりそう言った。
私はというと、坊ちゃんの膝に乗り本を音読する、という状態なのだ。
「彼女は家女中です。坊ちゃんのお遊びに付き合う程暇ではないのです。」
にっこり笑ってそう言うセバスチャンさんに眉をぴくりと上げる坊ちゃん。
すると坊ちゃんは後ろから私のお腹に両手を回し、ぎゅっと抱きしめた。
「仕方なかろう。コイツが僕から離れないんだから。」
「そうですか?私には坊ちゃんがしがみついてる様にしか見えないんですけどねぇ。」
「ハッ、もし嫌だったらとうに僕から離れているだろ。そうしないって事はコイツが嫌がってないって事だ。」
坊ちゃんが勝ち誇った顔でそう言ったたので、私は思ったままの言葉を一言。
『嫌がるも何も、御命令でしたから…。』