短編
□†1番好きなのは†
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一瞬部屋が静まり返る。
セバスチャンさんを見ると妖しく、だけど少し嬉しそうに笑っていて、
振り返ってみると坊ちゃんは固まっていた…
『(え、私変な事言っちゃった…?)』
私だけ今の空気に着いていけなくて戸惑っていると、セバスチャンさんが口を開いた。
「ほら、彼女もそう言ってるじゃありませんか。と、いう事で返してもらいますよ。」
そう言ってこちらに歩み寄り私の手をそっと握る、と同時に坊ちゃんが私の腰に回していた腕の力を強めた。
「返してもらう…?聞き捨てならんな。」
「何故です?」
「まるでコイツがおまえの物だと言ってるようではないか。」
「[言ってるよう]ではなく、まさしくそう[言ってる]んです。彼女は私の物です。」
今度はセバスチャンさんが勝ち誇ったように言う。
そして私はまた思ったままを一言。
『私はセバスチャンさんの物じゃないですよ…?』