短編

□†猫舌と悪魔†
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――…

「あれ?そういえばタナカさんは?」

「ああ、タナカさんなら庭の花を見ながら飲むとかで、先程皆さんより先にお茶をお渡ししましたよ。」


唐突なフィニの問いにセバスチャンが答える。


「花見かぁ!そりゃいいな、ちょっくら俺もタナカさンとこに行ってくるぜ!」

「あ!私も行くですだ!」

「僕も僕も〜!」


三人は残りのお茶を飲み干すと一目散に庭を目指す。

なんだか私もその雰囲気につられて慌てだした。


『わ、私もお庭に…熱ッ…!!』


雰囲気に流されてみても熱い物は熱かった。

口に少し含んだ途端に舌にきたピリリとした痛み。


『〜〜〜ッッ!!』


口元を抑えながら涙目になってくる。


「まったく貴女っていう人は…馬鹿ですか。」

『ううう〜〜ッッ!!』


呆れた目でため息をつきながらこちらに来るセバスチャンさん。

舌が痛すぎて何も言えない。


「ほら、舌を出して。」


目の前に来たセバスチャンさんに頬を捕まれ、私は素直に舌を出す。


「ああ…火傷して少し皮が剥けてますね……」

『グスッ…いひゃい(痛い)……』

「当然です。猫のくせに熱い物を飲むからいけないのでしょう。」


セバスチャンさんの厳しい言葉と今だ引かない舌のジンジンとした痛みに涙が溢れる。
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