八晴小説

□希望の未来
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「「ただいま。」」
「おかえりなさい。後藤さん。八雲。」
「おう。晴香ちゃん。片付いたぜ。」
「そうですか。早かったですね。」
「あぁ。」
「今回のはただ、依頼者に感謝の気持ちとお祝いの気持ちを伝えたかっただけの、いい霊だったからな。」
「そうなんだ。」
「ずっと、夢枕に立たれて気持ち悪いって言ってたけどな。」
「依頼人は分かってなかったんですよ。それが、昔の恋人の霊だと。病気で亡くなったみたいです。恋人は付きっ切りで看病してくれた。それが嬉しかった。だから、感謝の気持ちを伝えたかったって言ってました。」
「依頼人に話してたのはそのことか。」
「はい。それから、結婚おめでとうと。幸せになってと言っていました。それを伝えたんです。後藤さんが外に出ている間に。」
「後藤さんまたサボってたんですか?」
「サボってねぇよ。外に飲み物を買いに行ってただけだ。八雲に言われてな。」
「昔の恋人だって言う証拠に、生前その人が大好きだったジンジャーエールを買いに行ってもらってたんだ。」
「そっか。それで、依頼人さんはなんだって?」

「泣き崩れてたよ。気づかなくてごめんって謝ってた。僕の目を通して、会話もしたみたいだ。感じやすい人みたいだな依頼人は。」
「よかったね。」
「あぁ。」
「今飲み物入れるね。麦茶でいい?」
「それでいい。」
「晴香ちゃん俺には?」
「熊さんに麦茶って飲ませて良いんだっけ?八雲/笑。」
「刺激が強すぎんじゃないのか?」
「おまえらなぁ/怒。晴香ちゃんこの5年で益々八雲に似てきたな/苦笑。」
「そうですか?/笑。なんか、後藤さんの反応が面白くてつい/笑。」
「ほんと、お前らいい根性してるよ。所長に向かって普通そういうこというか?」
「あれ?所長って八雲じゃなかったっけ?/笑。」
「いや、お飾りでも後藤さんが所長だ。」
「仕事してないのにね/笑。」
「まったくだ。」
「もういい/苦笑。」
「拗ねないでくださいよ。後藤さん。ちゃんと後藤さんの分まで、麦茶入れてますから。」
「晴香ちゃん。ありがとう。」

「私が本気で言うわけないでしょ?」
「僕は事実しか言ってないけどね。」
「もう、八雲ったら。」
「今日の案件はこれで終わりか?晴香ちゃん。」
「えぇ。今日はもう終わりです。」
「そっか。なら間に合うな。」
「なんかあるんですか?」
「今日はかみさんの誕生日だからな。ケーキ注文してあるんだ。奈緒と取りに行くことになってる。」
「敦子さんの誕生日って今日なんですか?」
「あぁ。もうすぐ、奈緒が俺を迎えに来る。」
「そうですか。敦子さんのことですから、僕たちも連れて来いとか言われたんじゃないですか?」
「いんや。言われてないな。何か、邪魔しちゃ悪いとか言ってたな。」
『お父さん!』
「おっ!奈緒来たか。」
『ケーキ取りに行こう。』
『あぁ。行こう。』
「じゃあ、俺は帰るわ。戸締りとかよろしく。」
「今日ばかりはしょうがないですね。」
「気をつけて帰ってください。」
「あぁ。」

奈緒と後藤は仲良く帰っていった。
手をつないで。

「戸締りして、僕たちも帰ろうか。」
「うん。」

私たちは同棲している。
と言っても、卒業後に八雲が私の部屋に来ただけだけど。

家賃も光熱費も折半できるから、お得だしルームシェアって感じかな。

新しい部屋借りててよかったよ。
本当は美樹とする筈だったんだけど、美樹は八雲君が居るでしょって言って断ってきた。

「戸締り終わったか。」
「終わったよ。」
「帰るか。」
「うん。」

私たちは相変わらず、友達以上恋人未満な関係を続けてる。

八雲は多分気づいていない。
私と敦子さんが同じ誕生日だってことに。
私の誕生日も忘れてるだろう。
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