短編

たなばた
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* たなばた *





夜空にはキラキラと輝く星の帯がどこまでも続いていました。

それは離ればなれになった織り姫と彦星が唯一出会える日。

だけど、会えるのもたった1日で。

また、長い長い別れが待っている。


だから


短い時間でも長く一緒にいられるように……

橋が繋がったときにすぐにあえるように……

一番愛おしい人に会うために橋の上を駆けていく。


そばにいる間はとても幸せだから。












「陛下、そんなところにいつまでも立ってたら風邪をひきますよ?」

「だぁ〜……陛下って呼ぶなよ名付け親のくせに!
 それに今日は暑いくらいだし、濡れてちょうどいいょ」

「つい癖で……。すいません、ユーリ。それはそうと、空に何か見えますか?
 さっきからずっと見ているようですけど……」

「……うん。ちょっと……。
 ほら、地球じゃ今日は七夕っていう日でさ。
 1年に1回だけ織り姫と彦星が出会える日なんだ……。
 だから、こっちの世界にも天の川ってあるのかと思って見てたんだ」

「七夕……ですか?」

「うん。コンラッドは知らないんだっけ?」

「はい、日本にはあまり長く居なかったので……名前だけなら聞いたことがありますが」

「そっか……」

「折り紙と人星……でしたっけ?
 どうして2人は離ればなれになっちゃったんです??」

「織り姫と彦星……。2人は恋人同士だったんだけど、
 あまりにも2人の仲が良すぎるから神様に引き裂いたんだってお袋が言ってた」

「恋人同士だったのに……?」

「うん。
 あまりにも2人が時間忘れて遊んでばっかで、仕事をしてなかったから……
 怒った神様が2人の家の間に大きな川を作って渡れなくしちゃったそうだよ」

「そうだったんですか……」

「あっ、ごめん…何か暗い話をしちゃって」

「いえ、別にかまわないですょ。
 ユーリの育った国のことを知れて嬉しいです」

「なら良かった。
 よしっ!!じゃぁ血盟城に帰るとするかぁ〜!!!
 ……って、ぁれ? もしかしてココは……」

「はい。ここはヴァンダービーア島の……モルギフがいた湖です」

「やっぱり!? 眞王も落とす場所くらい固定して欲しいよなぁ〜。
 でも……」

「……でも?」

「山の上だけあって星の眺めもサイコーっ!!!
 今回ばっかりは感謝かな?」

「そうですね (にっこり)」

「あっ!! 笑うなよ、コンラッド〜!!
 どうせガキだなぁ〜とか思ってんだろ?」

「いぃぇ。 そうじゃなくて……。
 眞王のおかげでユーリと2人きりになれて俺も嬉しいな、と思って」

「ばっ!!!別に……お、おれは嬉しくなんかないぞっ!!」

「ユーリ、そんなに照れなくても誰も見てませんから」

「て、照れてなんかねーょ////」

「 …………(くすっ)
 それにしても、織り姫と彦星って可愛そうですね…。
 愛し合ってるのに離ればなれになってるなんて。
 俺だったら意地でもその川を泳いででも会いに行きますよ」

「可愛そう? おれ…そんな風に考えたことなかったな……。
 引き裂かれたのは可愛そうとか思うけど、そのあとは神様だって優しいだろ?」

「……え?」

「だってさ、1度も会えないわけじゃないんだし。
 会うまでの時間が楽しみ〜ってこともあるだろうしさ」

「そうですけど……」

「ほら、前にコンラッドが言ってただろ?
 離れてたって心は繋がってる……って、さ」

「確かにいいましたけど…俺は側にいれるなら居たいですけどね。
 だって2人は同じ世界の中で生きているのでしょう?」

「おれだって!! ……一緒にいられるくらいならずっと側にいたいと思うよ。
 でも、仲が良すぎて引き裂かれるくらいなら……
 仲良くしない方が良いのかな……って思ってさ………」

「………ユーリ?」

「だって……あんまり仲がいいとまた離ればなれになるかもしんないだろ?
 ま、前みたいにコンラッドがおれの前から姿を消して……
 帰って来なく、なるんじゃないかって………」

「…っ!!
 俺はあなたの側からもう絶対に離れませんよ、ユーリ。
 お願いだから、泣かないで…?」

「泣いてないよ……ただ、あの時のこと思い出しちゃって。
 大丈夫、コンラッドはいなくならないもんな!!」

「えぇ、神様が離れろって言われたって離れないですからね。
 こうやってギュッって…ずっと抱きしめてますからね」

「いや…くっつきすぎはダメでしょ……」

「さぁ、星もいっぱい見たことですし。
 宿まで歩きましょうか」

「そうだな!!」






「なぁ、コンラッド……」

「はい」

「明日から執務サボんないで頑張るから……。
 またキャッチボール、しような!!!」

「もちろん、喜んでぉ相手をさせていただきますよ」

「ずっとずっと一緒だからな!」

「えぇ、ずっと一緒に、ね」





「………おかえりなさい、ユーリ」

「うん、ただいまっ!!!!」









夜空にはキラキラと輝く星の帯がどこまでも続いていました。

それは離ればなれになった織り姫と彦星が唯一出会える日。

会えるのもたった1日だけど。


それでも


短い時間でも一緒にいられるだけで……

愛しい人と一緒にいられるだけで……

2人はとても幸せで………

別れは悲しいけれど、会えなくなるわけじゃない。



きっとまた会えるから



笑顔で2人は別れを告げ、元来た道を引き返していく。





― ぉしまぃ ―





-***-***-***-***-***-***-***-***-***-***-***-





あとがき


本当はもっと、こう…なんというか、ほんわかした感じにしたかったんだけど。
書いてて自分でも何が書きたいのかよく分からなくなりました★滝汗

きっとコンラッドとユーリが2人のようになっても会えると信じてます!!!
コンラッドなんて泳いで渡りそうですしね☆笑

……っていうか、七夕の話なのに織り姫と彦星があんまり出てきてないし!!!(←
七夕の由来すら違ってると思うけど……☆(ぃぃのかょ

いっそパラレルで書いた方が良かったかな?
織り姫 → ユーリ
彦星  → コンラッド   風に。

誤字脱字などありましたらこっそりご報告くださいねvv笑


それでゎ、最後まで読んでくださってありがとうございました↑↑



2007.07.05

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