短編

ずっとキミを守りたかった
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渋谷…ボクはキミがとても大事なんだ。
たとえ、どんな人を敵に回したとしてもボクはキミの側に居たい。

「…っ、渋谷!!!!」

ボクの心を癒してくれるその笑顔が好きだよ。
太陽に寄り添うようにして月はずっと側にいるんだ。
ボクたちがまだ魂の姿をしていた時に保護者が祈ってくれた言葉。

……太陽を支えていく月となりますように…。

ボクの魂の持ち主は何千年って言う記憶を持った大賢者と呼ばれた人。
この頭に入っている記憶を上手く使えば渋谷を支えていける。
どんなに危険が迫ったとしてもボクが必ず助けてあげる。

「村田…お前…なん、で…」
「…良かった、渋谷が無事でいて…くれ、て…」
「村…っ……村田っ!!!」
「……なんて顔して、んだよ…渋谷」
「どうしてっ!! どうしてオレなんかを…っ」
「…キミだから、守りたかったんだ」

たとえ守る力がなくなっても、ボクはキミの盾になって守るよ。
まるで月が太陽を隠す日食のように。
どんなに傷ついたって…ボクが例え消えてしまおうとも、守り抜く。
キミは優しいからそんな事させてくれないんだろうけどね。

「今すぐ治してやる、から……だから……」
「……渋、谷?」

ボクだって出来るなら長くキミと居たいから。
こうして隣で一緒に笑っている瞬間がずっと続けばいいな、なんて。
そうすれば少しでも長くキミの笑顔が見れるから。

「だか…ら……絶対に死ぬなよっ!」
「…ボクなら平気、だから…」
「この状態で平気って事はないだろっ!!!」
「……なんでキミ…の方が泣きそうな、んだよ」

……まだ、さよならはしたくないんだ。

気持ちを伝えてしまえばこの関係が終わってしまうんじゃないかって。
また1人ぼっちになるんじゃないかって…すごく怖かったんだ。

「だって……村田が居なくなったらオレは…」
「…渋谷、泣か…ないで?…ボクに、最期に笑顔を見せ…て…」
「…っ!!! まだ諦めるなよ、村田っ!! 」

でも、もう怖くなんかないよ。
キミが笑顔でいてくれればボクはそれで十分だと思えたから。
ボクはたとえ遠く離れてもキミの幸せを願い続けるよ。
きっと必ず、またキミの側に帰ってくるから…戻ってくるからさ。

もしも許されるのなら、最期に言いたかった言葉を告げたいな。
きっとキミを苦しめてしまうんだろうけど、ずっと伝えたかった言葉。


「……渋谷、ボクはずっとキミが好き、だったよ…」

 
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