小説
□未来に向けて。〜アナタとの思い出〜
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そして、今わたしは……
「また、来たよ」
そう、例の場所に来ていた。
「今日は……二,三ほど伝えることがあるんだ」
これを伝えずには次へ進めない。
そして、それを伝えるなら今日だと思った。
「一つ目は……」一番近くにあった桜の木に手を当てる。
本当は、どうしようか迷ったのだけど、
わたしは伝えることにした。
「お別れを、言いに来たんです」不思議と涙は出なかった。
辛くはあったけど、わたしは笑っていた。
「わたしはもう、ここには来ません。
今まではずっとあなたを求めていました。
でも、それも今日……いや、去年で終わっていたんです」
これからはもう、あなたに迷惑をかけない。
「だから、お別れです」
桜が、風で揺れた。波が、静かに穏やかなメロディを奏でる。
それを体全体で感じながら、わたしは次の報告をする。