司書教諭の最強説

□長期合宿説明会
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「元気やなぁ」
「……めっちゃ、必死の形相だったんスけど」
「オウちゃんとハルちゃんもじゃな」

その光景はある意味シュールだった。
むしろ、狐に襲われて必死に逃げる必要など、現代社会においてはありはしないのだから、そうかもしれない。
しかし、刻にとっては普通なため、驚きはしない。

「いつものことやから、気にせんでええ。で、他に質問とかはないん?」
「籤で決めた部屋は変更できないのですか?」
「できへん。場合によっては云々かいとるけど、全監督の許可がない限りは無理やな」
「それは先生が”Yes”と答えないと言うことか」

柳の言葉に刻は笑みを浮かべるだけにとどまった。
ただ、それが逆に切原と丸井に恐怖を持たせることになり、「組み合わせが最悪になりませんように」と念じることになる。
それ以降は特に質問もないということでひとまず休憩をとる形となった。
ただし、走り回る足音と東都の叫び声は消えないわけなのだが……。
その後、やることがないということで、自然と勉強会になっていった。
ただ、この勉強会は名ばかりで、刻との罰ゲームをかけた勝負であった(08参照)。
各自、苦手な分野がテストとして出題されるのだが、苦手分野がない人は刻の独断で教科が決定された。
そして、テストは刻が即興で作成したものである。
それを全員が黙々と解く。

(罰ゲームが合宿当日とかありえへんやろ)

そう思いつつ、説き伏せられた刻は半分諦めモードになっていた。
むしろ、理解しているのだ。
こういう時に限って全員が高得点を叩きだしてくれると。
故に罰ゲームの内容が気になって仕方がない上にどうやって、その当日を切り抜けようかと画策する。
だが、すぐにそれを消し去った。
柳と幸村に勝てないだろうと脳が判断したためである。





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