司書教諭の最強説

□部屋決めはくじ引きで
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「真田、自分は真面目すぎや。もう少し、柔軟な対応も必要やで。それにな、自由時間まで拘束なんてしてたら、スキルアップなんでできるはずない。各々の休憩の取り方はいろいろなんやからな」
「う、うむ、承知した」
「ああいうのを見てると、先生なんだよね、彼」

真田を説き伏せる姿に幸村はおかしそうに笑う。
言ってはいけないかもしれないが、あまり先生らしくない刻であるが、そういうところはしっかりしていると言うことなのだろう。
それでも、刻が真田を説き伏せたのは事実であり、彼が先生であることもまごうことなき事実なのだ。
些か不思議な光景としても、立海メンバーは刻との付き合い上、それは当たり前の風景として受け入れざるを得なかった。

「ほれ、これでも読んで、頭を柔らかくしんしゃい」
「む?」

珍しいことに本を持ってきていたのか、ブックカバーのついた本を背後から言葉とともに渡す仁王。
それに首を傾げた真田は本の内容が気になったのだろう、パラパラとページをめくる。
しかし、だんだんと顔を紅潮させる真田にニヤニヤと楽しげな笑みを浮かべる仁王。
それを見て、刻は納得した。
ロクな本ではない、と。
だが、思春期なのだから仕方がないかと思いつつ、見守ることに徹する。
そして、静かに見守ること数秒、ドカーンと爆発した。
真田は持っていた本を放り(刻が回収、確認)、仁王に掴みかかって日本語にならない日本語をぶつける。
ただし、仁王は何の事だかさっぱりと言う顔で、真田の対応をしている。

「先生、それなんなんだ。どうせ、ロクなんじゃなさそうだけどさ」
「ん、ああ、普通の官能小説や。しかも、ありきたり設定」
「……先生、案外普通に答えるんスね。俺、ちょっと恥ずかしいッス」
「お、俺もだぜぃ」
「一応、合宿にふさわしくないから没収やけどな」

鞄から紙袋を取り出すとそこに入れる。
その間も真田は仁王に何かを言っているようだが、何を言っているのかさっぱり分からない。
切原や丸井は官能小説だと聞いて頬を染めている。
そんな子供らしい反応に刻は笑みを浮かべた。




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