咲き誇る夢の樹

□三日月
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三日月

真田幸村は、泣いた。
最高のライバルであり、最愛の恋人伊達政宗が亡くなったから。
あれほど、決着をつけようといっていたのに決着をつける前に彼は幸村の前からいなくなったのだ。
涙が涸れてしまうのではないかというくらい幸村は泣いていた。
そんな幸村を幸村の仕える武田信玄も幸村の部下猿飛佐助も泣き続ける幸村を心配していた。
ところがある日、寝ているときも泣いている幸村が泣かず寝ずに褥の上に座っていたのだ。

「あれっ?旦那どうしたのさ。そんなところに座っちゃって」
「あぁ、佐助か。何故か今日は、眠る気にも泣く気にもならぬのだ。」

天井から佐助が音無く幸村の傍に降り立つ

「じゃぁさ、眠れるように近くの森の中でも歩いてきたら?少しは落ち着くかもよ」
「うむ、そうだな。では、出掛けてくる」
「うん、いってらっしゃい」

幸村は佐助に見送られて、森に出かけた。
けれど、一向に眠気などやってくることはない。





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