デュラララ

□いつもの日常
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丸くなって、スースーと眠る幼さの残る青年。
そんな所に金髪にサングラスのバーテン服を着込んだ男が近寄る。

「情在、起きろ。朝だぞ」
「……おはよう、静雄」
「ああ、おはよう」

青年―情在はぐずることもなく、すんなりと起き上がり、男―静雄に挨拶をした。
静雄は挨拶を返し、着替えを促せば、情在は素直に頷き、着替える。
ただ、どことなく、表情や紡がれる言葉から情在は感情と表情が欠落しているような感じを受ける。
故に無表情で"おはよう"の言葉すら淡々としたものだ。

「静雄、ご飯どうする」
「すぐ作れるなら、それを食う。できねぇなら、そこら辺で買う」
「ん、作る。作れる。だから、一緒にいただきます、な」

淡々とした口調だが最近になって少し抑揚が現れるようになっていた。
最初なんて、まるでロボットと話しているようにしか思えなかった。
ただ、表情はまだまだ無に近く、僅かに笑っているか、というくらい。
だが、行動はパタパタとどこか愛らしさを見せる。

「無理すんじゃねぇぞ」
「大丈夫、平気」

キッチンでテキパキと動く情在の背にそう声をかければ、大丈夫だとはっきりという情在。
そうか、だなんて返事を返しながら、静雄は椅子に腰を下ろす。

「はい、出来た」
「ああ、ありがとな」
「食べよう、いただきます、な」
「そうだな、いただきますだな」

コトコトと朝食を並べ、静雄の正面に座る情在。
そして、手を合わせ、食事を摂る。

「今日は適当に過ごしとけ」
「ん、わかった。街、ブラブラする」
「ああ、そうしとけ。あ、ノミ蟲……臨也ってやつには関わんじゃねぇぞ」

ミルクと砂糖がたっぷり入った珈琲に口をつけながら、そういうと情在は"ノミ蟲"と"臨也"という言葉を脳に刻み付けた。
ただ、それが誰なのか、何なのかなんてものは知らない。
いつも、出掛けるときに言われるモノとしか認知していなかった。
それは静雄自身、理解していた。
わざわざ、コイツが臨也だ、とか説明したくもないし、恐らく誰かがその名前を言っていたら、すぐに顔と名前を照らし合わせることができるだろうと思っているからだ。

「じゃ、行ってくる」
「うん、いってらっしゃい」

仕事に出かけた静雄を見送り、情在は片付け、掃除、洗濯物を済ませる。
そして、ブラブラするために外へと出かけた。



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