復活小説

□エゴイスト
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愛なんてくだらない












そんなの人に押し付けるだけのエゴだ











僕が求めるのはそんな物じゃない











僕が欲しいのは…











 ―『絶対な物』だよ―









 





「ねぇ、骸」





「何ですか?雲雀君」











『僕の為に死んで』











それは歪んだ僕が打った





   ―終止符―





突然の言葉に驚く骸だが、その後すぐに僕を見て微笑んだ











『雲雀君が望むのなら』











僕は狡いと思う





彼がそう言うと分かってて、言ったのだから




 
僕は彼の細い首にそっと手を掛ける





そして両手にゆっくりと力を込めて





彼の首に指を食い込ませた





「……ぅ‥ッ…」





骸から小さな声が漏れる





だが、僕が手の力を緩める事は無い





「大丈夫だよ、骸」





「今、楽にしてあげる」





ギリリと生々しい音を立てて、骸の首が絞まる




 





弱った骸は重々しい口を開き、今にも消えそうな声を発した











「…雲雀‥君ッ、ずっ‥と‥一緒…です‥よ」











骸はそう言い終えると儚げに微笑み、瞳を閉じた











「勿論だよ、骸…」











僕はまだ温かい骸の躯を抱きしめた












もう君の綺麗な緋と蒼の瞳は開かず、美しく鳴く声も聞く事は出来ないだろうが











これで君はもう僕から離れる事は無い















愛なんて物、僕にはいらない











そんな不確かな物より僕は絶対な物が欲しい











「ねぇ、骸?愛してるよ」











腕の中の屍は、返事を返す事は無い











君は僕の『絶対な物』になったんだよ、骸―…











冷たくなった骸の唇に、僕はそっと自分の唇を重ねた















『ずっと…ずっと一緒だよ』













エゴイスト

(愛しい君ならどんな姿だって美しい!)

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