復活小説

□記憶
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ねぇ…、
   君は覚えてる…?




















    〜春〜




桜が一面に咲き乱れ、桜の花びらが地面を染め始めた頃



僕の名前を呼び、無邪気に笑う君の横顔を思い出す














    〜夏〜




照り付ける太陽がようやく沈んでいく頃



お祭の金魚すくいで、はしゃぐ君の笑顔を思い出す














    〜秋〜




木葉が赤みを帯び、少し肌寒さを感じるようになった頃



腕を組んで僕の隣を歩く君の顔を思い出す














    〜冬〜




雪が積もり、白銀の世界がキラキラと輝き出す頃



僕の下で頬を染め、照れ笑いをする君の顔を思い出す








 




いつの季節も思い出すのは君の顔ばかり










泣いたり笑ったり…
君は僕にいろんな顔を見せてくれたね










その度に僕は、君と居る幸せを実感する事が出来たんだ










何時も孤独を感じていた僕にとって、君という存在はとても大きくて










いつの間にか僕の世界は君で色付いていた










…でも、孤独に馴れていた僕は世界が変わって行く事を怖れていたのかもしれない…













だから僕は君に当たってしまった











君は何も悪くないのに











僕が臆病者なだけなのに











君を傷付けてしまった











なのに君は、今にも壊れそうな心を必死になって隠して、何時でも僕に微笑みをくれた











…泣き顔など決して見せずに











この時僕は気付かなかったんだ
君が出した最後のSOSに…









 




骸はある日突然「雲雀君、君にとって僕は何ですか?」と聞いてきた











余りにも突然だったので僕は「さぁ…?何だろうね」と答えてしまった











ホントはそんな事が言いたかった訳じゃない











「骸は僕の恋人だよ」と答えたかったのに、口から出た言葉は孤独に馴れてしまった僕が出した危険信号











依存するのが怖かったんだ











愛というものに恐怖を感じ始めていたんだ











何よりも君を愛しているのに…



















それからしばらくして骸は姿を消した











僕に何も告げずに…











シーンと静まり返った部屋には、僕が叫ぶ骸の名前だけがやけに大きく響く











当然のように返事は返って来ない











僕は必死で骸をあちこち探し回った











だが、いくら探しても結局骸は見つからなかった











そう…それ以来、僕が骸と会う事は二度となかった









 




骸…、君は何処へ行ってしまったの?











僕はまだ、君に言わなきゃいけない言葉がたくさんあるのに











伝えたい事だっていっぱいあるのに…











ねぇ、骸…帰って来てよ、僕の所へ











そしたら一番に愛を囁いて、君をギュッと抱きしめた後、ごめんって素直に謝る事が出来るのに…











今の僕にはそれすら許されない













だから僕は『記憶』の中で君を探す











君は僕の記憶の中で、何時もと変わらない笑顔で笑ってる











どうかこの記憶の君だけは、何時までも僕の物でいて…




















この愛を僕の記憶の中の君に捧ぐから…




















 永遠(とわ)に君へ…











記憶

(君の為なら僕は何処へだって行ける!)

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