#5
□七夕SHORT。
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「July 7th,fine」
七月になったというのに、遅く来た梅雨が、
今になって、グズグズした空模様で、もたらす湿気が鬱陶しくて堪らない。
何となく、点いているTVの天気予報、七夕は生憎の雨、と告げる。
7月7日、織姫と彦星が、一年に、一度、
互いの想いを、愛を、一番傍で深め合える日、
…なのに、雨じゃ折角のデートも、台無しになっちゃいますね。
彼女は、何処からか拾ってきた、笹に付ける、短冊に願い事を書きながら、
―そう呟く。
そんなの、昔の作りバナシなんだから、関係ない、って言わない。
オトナになるにつれて、誰もがそういった夢物語を、
何のためらいもなく切り捨てていくのに、
彼女は、そういった純粋な心を何の躊躇いもなく、ハッキリ示す。
ちっとも、汚れてなくて、真っ白い。
だから、そんな君が、愛しくて仕方がないって、思うんだ。
君が眠った後、こっそり短冊に、託す、願い事。
「7月7日、晴れ。」
雨の予報なんか、吹っ飛ばしてしまえ。
夜空の星と同じ様に輝く、君の笑顔を、一番傍で、見たいから、
天の恋人同士に、負けない位、熱い夜、
過ごそう?
#願いは、こっそりと。