#5
□罪と罰
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「罪と罰」
#1
――街で偶然見かけた、君。
その偶然に嬉しくなったあまり、口元を緩ませながら、
君を驚かせよう、とこっそり近付き、声を掛けようとした、その時、
――隣の、存在に、気付く。
とても、見覚えのある、オトコ。
敗者復活戦で、君が救った、エトウ。
…何で、一緒に、いるんだ?
気付かれない距離で二人を、見つめる、けど、
君は、楽しそうにしてて、俺にはあまり見せない笑顔、
…隣のオトコに見せていて。
……バカだな、俺は、自惚れていたのか?
彼女が、あんなキレイに笑いかける相手は、自分だけだって、コトを。
いつもは殆ど動じない、心の波が、
こんなに、ざわめいてしまっていて、いつのまにか彼女等を見失っていたコトに、
――気付いていなかった。