#5
□REWARD IS YOU.
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「REWARD IS YOU」
#1
――外から帰って廊下のトビラを開くと、
見えたのは、
リビングの椅子に腰掛けた、彼女の、後ろ姿。
……何時もは、真っ直ぐなのに、今日は丸まってる。
しかも、何かブツブツ呟いていて、
……ちょっと、コワイんだけど。
でも、帰宅の物音に全く気付いてない、だったら……
――悪戯心に火が付き、彼女の背後から、こっそり近づいて、
両肩を、ポン、と思い切り叩いてみたら……
「わぁ!!!」
――独り言の、静かな静寂、
一気に、切り裂かれた。
大、成、功。(ココロの中で、ガッツポーズ。)
「……ただいま。」
笑いを、堪えながら、耳元で、告げる帰宅。
「おかえりなさい……ってもう、ビックリさせないでくださいよ。」
表情は困惑と怒り半分ずつ……かな。
でも、あんまり、怒らせんのも、意地悪過ぎだな、と思って、謝る。(一応)
「ごめん、ちょっと驚かせたくなった……って何やってんの。」
食卓テーブルの上に散乱する紙屑、辞書、教科書、は……心理学、か。
――そっか、それで、ブツブツ言ったり、背中を丸めたりしてるワケ。
「レポート、行き詰まってんだな?」
――そう言うと、(今度は)驚いたカオになって、
「え、何でわかるんですか?」
――自分から、言ったワケじゃ、ないのに、と続ける。
「見れば、わかるよ。」
言って、親指でテーブルを指すと、
「……提出、もう直ぐなんで、今のうちやっとこうと、思ったんですけど……」
最後は、困惑の、表情だけになって、俯く。
――君の百面相、見てるだけで、楽しいんだけど、こんな時の、彼女が望んでる、コト、
――もう、わかった。
また、俺の方を見て、何か言い掛けたけど、
彼女が次に告げる、確信のコトバ、奪う。
「――助けて、やるよ。それ。」
「――何で、わかるんですか?」
……わかるよ、ライアーゲームでは、何度も、してきたコトなんだから。
「……言おうとしたのに、コトバ、取らないで、下さいよ。」
――そうやって、君が困った顔をするのが、可愛いからだよ。
……そう思った、次の瞬間彼女に腕を掴まれ、頬に感じるは、口唇。
……先に、お礼です、と付け加えて。
――馬鹿だな、こんなもんじゃ、足りないに、決まってるのに、
……知らないぞ?