#2
□caller
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もう、何度目だよ?夜中の彼女からの電話。
取ろうとするたびにタイミングよく切れる。
何なんだよ、一体。気になって眠れなくなってしまったじゃないか。
ほら、また鳴りだした。
すぐ取って、今度こそ理由を逃がさない。
いい加減にしろよと怒鳴りそうになった瞬間、彼女からの一声。
会いにきたの、あなたに。
こんな夜に来たら驚くかと思って、
何回も掛けたけど、恐くてすぐ切ってしまったの。
ごめんなさい。
ぽつりぽつりと零れる声は電話口から、
そして俺の家の玄関前から。
そう気付いた瞬間走りだす、扉を開き彼女を中へ招き入れるように強く引き寄せ、
傍でゆっくり囁く。
こんなコトしなくてもいつでも会ってやるからさ。
その代わり詫びは今からくれる?
モノでもコトでもなく、君自身で。
眠れなくなった夜はこれから、君と一緒に。