#2

□caller
1ページ/1ページ



もう、何度目だよ?夜中の彼女からの電話。


取ろうとするたびにタイミングよく切れる。


何なんだよ、一体。気になって眠れなくなってしまったじゃないか。



ほら、また鳴りだした。

すぐ取って、今度こそ理由を逃がさない。


いい加減にしろよと怒鳴りそうになった瞬間、彼女からの一声。


会いにきたの、あなたに。
こんな夜に来たら驚くかと思って、

何回も掛けたけど、恐くてすぐ切ってしまったの。


ごめんなさい。

ぽつりぽつりと零れる声は電話口から、

そして俺の家の玄関前から。


そう気付いた瞬間走りだす、扉を開き彼女を中へ招き入れるように強く引き寄せ、

傍でゆっくり囁く。


こんなコトしなくてもいつでも会ってやるからさ。


その代わり詫びは今からくれる?


モノでもコトでもなく、君自身で。


眠れなくなった夜はこれから、君と一緒に。


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ