がんぜなき陰陽師 短編2
□カラフルボール
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冷たいそれに六合の肩がぴくりと跳ねる。
「食べろ」
冷たいそれを六合が拒むわけがない。すんなりとそれを口の中に入れ、六合はゆるゆると瞼を押し上げる。
からころと、涼しげな音がした。
「ヨーグルト……か?」
紅蓮はタッパー片手にやれやれと肩をすくめる。
「氷用タッパーにヨーグルトとレモン、蜂蜜を入れて凍らせてみた。これなら安いし栄養もある。……青汁と生クリームで作ったのもあるから覚悟しろ」
六合の顔がしかめられるのを見て、紅蓮はこのお子様味覚がとおかしく思う。
普段は頼りがいがあるくせに、この同居人は変なところでこどもっぽいのだ。
おとなしく氷を口の中で転がす六合を見ながら、ふいに自分も食べたくなってヨーグルト氷をひとつ摘む。
「ん、あまい……な」
甘党の六合にはいいかもしれないが、自分には一個で充分だ。
それに六合が熱いものを食べないせいで、最近は冷たい料理ばかりだ。
「こういうのばっかじゃ体温が上がらないな。熱いのが食べたい」
ぽつりと呟いた時、紅蓮はぐいと腕を引っ張られた。
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