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□じい様、侮りがたし
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※バサラ+スマブラとクロスしてます。
なので名前表記が
元就→少輔
政宗→藤次郎
幸村→源次郎
となっております。
すみません。





「おや、源次郎君。
今日も来てくれたのかい?
嬉しいよ。」


そう言って紺のふくろうが赤い虎を見て笑った。
ここはにちりん村商店街の博物館の一階のロビーである。
上へ繋がる階段と、その横にあるふくろうのステンドグラスの前にその紺のふくろうはいた。
時間が夜だった為か、紺のふくろうは珍しく起きていた。
いつもこの紺のふくろうはふくろうだけについ昼間は転寝をしているのである。
といっても、夜でも転寝している時もあったが。
博物館館長なのにかなり緩い。
そんな事を思い出しているのか苦笑しながら、その言葉に対して赤い虎が丁寧に会釈して返す。
今日も、とは言うが、実際この赤い虎は引っ越してきてから毎日、博物館に足を運んでいる。
理由は明確だ。


「………なんじゃ、貴様。
また来たのか暇人めが。」


そう言って二階から深緑のふくろうが一匹呆れ顔で階段から降りてきた。
そう、このふくろうが理由なのだ。
赤い虎は深緑のふくろうが大事なのである。
片目に眼帯を付けている、まだ少し小さいふくろうが。

しかし相変わらず、きつい物言いである。
それに赤い虎が苦笑していると、ふくろうはぱたぱたと歩いてきて、赤い虎の前で止まった。
このふくろうは紺のふくろうの孫である。
二階が増築された際に、紺のふくろうが仕事のサポートの為にわざわざ呼んだのだ。
なのでいつもは紺のふくろうの目が届かない二階の展示室とミュージアムショップで働いているのだが、


「ふじ殿。
今日も魚を採って参りました!」

「………そうか。
なら、また料理してやろう。
後わしはふじではない。
藤次郎じゃ。」


このように毎回赤い虎が魚を運んできては調理を頼むので、もう一々呼びたてられるのが面倒な為に先に気付いて降りてくるのである。
この博物館の大量の魚の遊泳は見事である。
これも全て村長の元就が寄贈したものだ。
ぶつくさ言いながらもまめに持ってきて寄贈する辺り、元就は真面目だ。
赤い虎も寄贈したかったが、あまりに元就の行動が早いので出る幕がない。
だからそれなりに食べれる魚を持ってきては、緑のふくろうとコミュニケーションをとっている。
勿論、赤い虎は魚の入っているガラスを見るのも好きだ。
大きな魚や綺麗な色とりどりの魚な泳ぐ姿と水は、自分の心を洗ってくれるような気がする。
少し暗めの部屋で水を感じて癒されるのだ。
それを最初は求めた筈なのに、今では完全に目的が逆になっている。




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