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□ふじちゃんの不幸な一日
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※バサラ+スマブラとクロスしてます。
なので名前表記が
元就→少輔
政宗→藤次郎
幸村→源次郎
宗茂→宗茂
となってます。
宗茂だけ変わってないです。





ばさっばさっ

快晴の青空の下、緑のふくろうがその平均以下の身長で爪先立ちをしながら、必死にベランダに立て掛けたじゅうたんを棒で叩いていた。
八つ当たりとも取れそうな勢いで棒を振るうので、叩く音があたりに響く。
なのでばさばさとじゅうたんを叩く音とともに埃が周りに勢い良く飛んでいく。
それらは白い煙になって漂っていた。
しかし博物館の裏手の住居スペースなので周りに被害はない。
それが少し救いだ。
埃まみれになるのは誰だって嫌に決まっている。
そしてそのじゅうたんの柄はとても濃い赤。
どうやらしょさいのじゅうたんらしい。


「またこんなに散らかしおって………。」

「すまないね。
ふじ。」


緑のふくろうに対し、紺のふくろうが申し訳なさそうに苦笑して言う。
無論紺のふくろうの手の中には沢山の書籍。
主に化石やら美術品の本だ。
所々に虫や魚の図鑑も混じっているが、歴史を含めたそれらの本に比べると少ない。
それらを紺のふくろうはびっしりと並ぶ本棚に少しずつ戻していく。

今日は住居スペースの掃除の日になっている。
といっても、掃除の日というのは日程が決まっているわけではない。
大抵は緑のふくろうがまめに掃除をしているからだ。
しかし今日は違った。
何故なら緑のふくろうが赤の虎に料理をし、機嫌良くそれを片付けていた時、上から雪崩れのような音…要するに本が大量に崩れた音がしたのだ。
次いで地響き。
その音に緑のふくろうが慌てて階段を駆け上がり音源の部屋に行けば、本に埋もれる祖父の姿。
どうやらまた本を重ね過ぎた挙句、それを崩したらしい。
慌てて緑のふくろうは手だけ見える祖父を本を退けて救出。
軽く小言を言い、本が崩れた為に寝る場所がなくなったので二人で掃除を始めたというわけだ。
因みに緑のふくろうの機嫌はとても下がっていた。
何故なら赤の虎と少し話そうと心を踊らせた瞬間の出来事だったからである。
この出来事のせいで赤の虎は帰らなければならなくなってしまったのだ。
好いている相手と空間を共有し、談笑しようとしたのにいきなりの出来事。
だから半ば八つ当たりのようにじゅうたんを叩いているというのは、実はあながち間違いではなかった。


「全く、少輔は本当に片付けられない男じゃ。」


ぶつくさ不満を言いながら緑のふくろうはじゅうたんを叩く。
兎に角叩く。
紺のふくろうの部屋の掃除は中々出来ないので、今のうちに全てやろうと思ったのだ。
と、思いながら不満を隠す為に自分に言い聞かせるように叩く。




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