その他Novel

□ふじちゃんの悲しい料理会
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ぐつぐつ

それらは、所狭しと茶色の汁の中に収まっていた。
時折それを蒼の猫と交代で目を光らせながら、緑のふくろうは注意深く見ている。
緑のふくろうと他四人の目の前には四角い茶色の鍋。
それも、きちんとしたそれ用の鍋である。
出汁はかつおと昆布。
割合もきっちり計った。
具材も蒼の猫オススメを入れたのだから、多分間違いはないだろう。
緑のふくろうはおでん鍋を見つめながら、赤の虎を想って少し照れた。


元就がおでんのなべを手に入れた。


それがこの料理会の始まりである。
丁度おでんを作ろうと考えていた緑のふくろうが偶然その話を聞き、本格的に作る為に村長にそれを借りに出かけたら村長はおらず、必死に村長を探せば偶然リサイクルショップにいた所を発見。
そのまま話をすれば村長にはおでんを提供する事で交渉成立。
そしてその場に居合わせた蒼の猫に少しアドバイスを貰うという話になり、蒼の猫は青の猫にも料理を教えるというので更に人数が増えた。
それからこれがバレるとうるさいのが各々いるので、バレないように博物館に移動。
となれば必然的に紺のふくろうも参加する事になり、今の大人数になってなべを囲っていたのだ。


「なに照れてんだ?
藤次郎。」


照れていた緑のふくろうに蒼の猫がにやにやと笑いながら話しかける。
無論蒼の猫は何故照れたか分かっているのだ。
相変わらずからかうのが大好きなようで、蒼の猫はいきいきとしている。
その手には乗らんわ馬鹿め。
そう内心思いながら、緑のふくろうは大人な対応をしようと口を開く。
しかしそう言おうとした瞬間、いきなり予想外からの横槍が飛んで来た。


「大方、源次郎の事であろう。
こやつは源次郎を慕っておるからな。」


あまり表情には出てないが、やはり少しからかうつもりらしい様子で村長がそう言った。
何故知っておる!?
何故か村長にまでバレていたらしく緑のふくろうは内心動揺した。
心臓が早鐘のようにドキドキしている。
恥ずかし過ぎるわ!
顔から火が出そうなぐらい緑のふくろうは混乱した。
しかし村長はやはりとても鋭い観察眼を持っている。
侮れない。
そしてその横では知らなかったらしい青の猫が驚き、目をぱちくりさせていた。
彼は鈍い挙句結構な天然なのでやはり気付いてかなかったようだ。
その様子が緑のふくろうの羞恥を更に煽った。


「さらりとばらすな!
元就!」


思わず羞恥に引き摺られ混乱した緑のふくろうはうっかり認めてしまった。
青の猫は本当という事に驚き少し恥ずかしげである。
その様子に緑のふくろうは我に返った。
そして冷静を何とか取り戻す。
はめた二匹を見れば、少しだけ楽しそうである。
だが、皆口は堅いので多分大丈夫だろう。
そして青の猫ならきっと力になってくれるだろうから心配はいらない。




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