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□ただ只管に、貴方を想う
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政宗が顔を上げると、黄色の瞳の赤いドラゴンが目の前にいた。


「幸村………?」


何故そう思ったかは分からない。
だが、直感的にこのドラゴンは幸村だと、政宗は思った。
しかし、どう見てもこの赤いドラゴンはドラゴン・エンパイアのかげろう部隊の指揮官、ドラゴニック・オーバーロードである。

あの優しい幸村が、戦闘の指揮官………?
政宗は困惑した。


「………すみませんでした。
政宗殿。」


オーバーロードがこちらにだけ聞こえるように言った。

やはり、幸村だった。
政宗の直感は当たっていた。
しかも自分がアルボロス・ドラゴン若枝である事も、彼は知っていたらしい。
ドラゴンの自分を庇った時点でそれは政宗にも分かった。
わざわざ人型を取らなくても良かったのだと思うと、政宗は妙に気恥ずかしくなった。








「貴様!!
このわしを愚弄しおって!!」


その後の戦闘はネオネクタールの勝利で終わった。
そして仲間の魔法での治療が終わった政宗は自室に戻り、幸村に文句をたれていたところである。
分かっていたなら何故言わないとか、やっぱり本性を隠していたなとか、何で戦闘について来たのかとか。
政宗としては言いたい事が山積みである。
しかし幸村の帰りの時間が既に迫っており、幸村は困った顔をしながら政宗の言葉を躱し続けた。
そして政宗がぷんぷん怒っている内に、ついに帰国の時間になってしまった。


「………政宗殿。
ありがとうございました。
貴方との時間は、とても楽しかったです。」


幸村が微笑んだ。
政宗ははっとする。
帰国の時間まで自分が怒っていたのだと、漸く気付いたのだ。
政宗はバツが悪くなって、黙ってしまった。
そんな政宗の頭を、幸村が優しく撫でる。

ガキ扱いするな、バカめ。

政宗はそう言いかけたが、やはり怒れなかった。
そんな政宗に幸村は苦笑し、優しく頭を撫でていた手を離した。
政宗が顔を上げる。
すると、幸村はそのまま政宗の額に口付けた。
不意打ちのキスと可愛らしいリップ音に、政宗は面白いぐらいに真っ赤になった。
色で言うならば、さながらドリアードの仲間のトゥメイトーのような色であった。


「また、会いに来ます。
何度でも、貴方に会いに。」


そう言って真っ赤になった政宗に笑いかけながら、幸村は航空機に乗って帰っていった。

それは、かげろう部隊がロイヤルパラディンとシャドウパラディンと共に謎の勢力に封印される、数ヶ月前の話だった。







そうして幸村が封印されている間に、政宗は若枝から樹へ、樹から聖樹へとなり、今はズーの守護竜となって大樹と同化していた。
先代の地位を継いだのである。
政宗のあの杖からは、花が沢山咲いていた。
それでも、その地位になっても政宗は意識を飛ばして、幸村を捜した。
だが、封印された場所すらも分からず、何の手掛かりもないまま結局毎回大樹へと戻ってくる毎日であった。


「あの日の約束をわしは忘れぬ。
だから、早く会いに来い。
幸村………。」


緑の竜は戻ってきた大樹の中でそう呟くと、再び目を閉じた。





END?


これのネタが分かる人絶対いないよね!
分かった方は是非私とお友達になって下さ(強制終了
因みに二人をイメージしてしまったカード名は、政宗は「アルボロス・ドラゴン」、幸村は「ドラゴニック・オーバーロード」です。
興味があれば、調べて下さると嬉しいです!
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