捧げ物Novel
□雫 〜ラメント〜
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『この世界を変える』
ある冬の日。
マスターハンドが改革を宣言した。
理由は「飽きたから」だそうだ。
でも、そんな理不尽な言い分は皆には受け入れられても、到底僕達には受け入れられなかった。
折角見付けた運命のヒト。
………いつか別れが来るとは分かっていた。
でも、それはあまりに唐突過ぎたんだ。
彼も、僕自身も、覚悟なんて出来ているはずもなかった。
だから――――。
二人で湖べりを歩く。
吐息は寒さで白い。
更に風花も舞っている。
でも、雲は少なく空が見えた。
此処はまだ、崩壊を免れ“この世界”から剥落してはいないようだった。
でももう、一部は跡形も無くなっていた。
まるで最初からなかったかのように………。
ふと空を見上げた。
すると澄んだ紫色の夕方の夜空に一つ、綺麗に星が輝いていた。
それは上枝の間にあったのだけれど。
それでもそれがあまりに美しくて、僕は咄嗟に彼に呼び掛けた。
「ねぇ、一番星。」
彼に笑いかけながら指差した。
すると彼も微笑みながら夜空に浮かぶ一番星を見詰めてくれた。
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