捧げ物Novel
□雫 〜ラメント〜
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「奇麗だな………。あの時みたいだ。」
あの時。
僕が彼に告白の返事をした時の事だ。
とにかくあの時は凄く恥ずかしかった。
でも、大好きな彼の笑顔が見れたから、凄く幸せな想い出。
とても素敵な、想い出。
思い出したら恥ずかしくて………でも幸せで、気付けば僕の頬は鴇色に染まっていた。
その様子を彼が笑った。
ぽけっとに手を入れながら。
僕はやっぱり恥ずかしかったから、彼に一撃照れ隠しで攻撃を仕掛けた。
何時もなら当たるのに、今日に限って彼は受け止めてしまった。
「………なんだよ。手、冷たいじゃん。」
僕の拳を受け止めながら、彼が呟いた。
僕はビックリして手を引っ込めようとしたけれど、彼は僕が行動するより早く僕の手を掴んで自分のぽけっとにそっと入れた。
「………何してるの?」
僕が問い掛けた。
すると、彼は再び微笑んで悪戯っ子のように言った。
「暖めてるんだ。俺で。」
そんな突拍子も無い事を言うものだから、僕の顔は鴇色を通り越して紅色になっていた。
本当に彼は恥ずかしい事を平然と言う奴だと思った。
でも、素直な気持ちの現れなのは知っているから。
………嬉しく思う。
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