お題の短編
□手負いの獣
2ページ/3ページ
忍軍が帰還した、
と報告をうけて、知世姫は、大広間に向かう。
今回の魔物は、てこずったらしい。
魔物とは一体、なんなのか?
どこからきたのか?
生態はどうなっているのか。
少しでも知るため、知世姫は各地に研究班を派遣していた。
危険極まりない、研究だ。
けれど、敵を知らずして立ち向かうなどできない。
弱点をこちらが握ればいい話だ。
(黒鋼の遠征は、その研究班もつれて…でしたわね)
知世姫は、すこし眉を下げる。
廊下を歩けば、異なる方向から歩く天帝に出会った。
天帝は、知世姫の姉だ。
「お姉様」
天帝は、ちらりと知世姫を見た。
「黒鋼が着くのはもう少しかかる、と」
「はい…」
天帝に、知世姫が答える。
「あの方は…?」
「もうすぐこられると思いますわ」
そうですか、と天帝は言った。
二人して大広間に急ぐ。
大広間で、城内の者の騒がしい声が聞こえてきた。
.