お題の短編

□手負いの獣
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忍軍が帰還した、
と報告をうけて、知世姫は、大広間に向かう。

今回の魔物は、てこずったらしい。

魔物とは一体、なんなのか?

どこからきたのか?

生態はどうなっているのか。

少しでも知るため、知世姫は各地に研究班を派遣していた。

危険極まりない、研究だ。

けれど、敵を知らずして立ち向かうなどできない。

弱点をこちらが握ればいい話だ。

(黒鋼の遠征は、その研究班もつれて…でしたわね)

知世姫は、すこし眉を下げる。

廊下を歩けば、異なる方向から歩く天帝に出会った。

天帝は、知世姫の姉だ。

「お姉様」

天帝は、ちらりと知世姫を見た。

「黒鋼が着くのはもう少しかかる、と」

「はい…」

天帝に、知世姫が答える。

「あの方は…?」

「もうすぐこられると思いますわ」

そうですか、と天帝は言った。

二人して大広間に急ぐ。

大広間で、城内の者の騒がしい声が聞こえてきた。





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