お題の短編
□たったひとつの、唯一の繋がりだったのに
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唯一の繋がりは、消えてしまった。
写身の小狼が残したそれ。
生きることに、貪欲な魔力は目をも再生させた。
飛王は滅した。
また新しい旅が始まる。
こんな結果が欲しかったわけじゃない。
まどから、ファイは玖楼国の夕日を眺めた。
優しき少年に、戻ってきてほしかった。
代わりに自分の魔力が、もう戻ってこないとしても。
同じ魔力はひかれあう。
もう、それもできない。
前へ踏み出したはずの足は、一歩戻り。
うらやましかった。
黒鋼や、モコナ、小狼、さくらが。
なんて遠いのだろう。
自分は悲しんでばかりだ。
コンコン。
音がして、ファイは振り向いた。
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