saloon
□和音
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「久し振り、シトちゃん。」
耳元に響いた、
深いテノール。
振り向けば、
嗚呼、
貴様がいて。
俺は、
こいつに恋をしている。
「シートちゃん」
ちゅ。
俺と奴が、重なる。
どうすれば良い、
どうしようも無く、
この唇が好きだ。
でもそんな事
言える訳が無くて、
「ふざけるな。」
なんて、
顔を背けて呟く。
──背けた顔がこんなに熱いのを、
お前は知らないだろう?
「ふふっ。かわいーね。」
ちゅ。
首筋にもうひとつ、
キスが落ちた。
良かった、顔を背けていて。
どうせきっと、首まで紅いだろうが。
「ぁ、やめ、いや、だ…んッ」
「気持ち良いんでしょ?だってほら、もうこんな」
「…ッ、るさ、ぁあっ」
芝は、俺の身体を愛しむ。
俺のこころの柔らかい所を、
誰にも見せない所を──、愛しむ。
「ここが良いんだ?」
「ち、がッ、//ひゃんっ」
「嘘つき。もっと素直になればいいのに?」
「馬鹿……っ」
俺にまだ柔らかい所があるなんて、知らなかった。
知りたくもなかった。
身体はもう本当はとっくの昔に朽ちているのに、
生まれる前から朽ちているのに、
心など───
…こいつに、逢うまでは。
「ふぅン、い、やあぁ」
俺の熱を芝は口に含んで。
「あほはー、ひはひゃんは、」
「くっ…、くわえたまま喋るな!ぁあ!」
「ねー、ひはひゃんは、げんひ?」
──チカちゃんは、元気?
嗚呼、いつもこいつはこうだ。
「ふッ、あ、苛つく程っ…な。」
チカちゃん、チカちゃん、チカちゃん、…
そんなに、あいつが良いのか。
「そーか、良かった。」
芝が笑う。
心から嬉しそうに笑う。
「あ…っ、や、ば、ぃ!ふ、ぁあ!」
──それだけで、上り詰めてしまう。
本当は、俺の事で笑って欲しい、
しかし
それが叶わぬ願いなら、
俺は、
赤月の代わりでも──。
「シトちゃん、もうイっちゃったの?」
「はぁ、…誰の、所為だ…っ」
「ねえ、俺もイかせて?」
嗚呼、俺はずっと、
この笑顔に勝てないのだろう。
「んぅ…、ぁん、」
「……っ、」
芝と俺が繋がる、
重なる。
「見てここ…エロいね。」
「い、やぁあ、いう、な…ッ」
「…っ、はぁ、」
芝が、俺を求める。
たとえ、この刹那でも。
たとえ、誰かの代わりでも。
──その『今』だけは、俺のもので。
「んぁあ…!あっぁぁぁ!」
「すご…っ」
深くなる、
深くなる。
何もかも。
「し、ば」
「はぁ…ッ、何?」
「……っ、」
「ん?」
「……何でも無い。」
でも
芝が、
俺の中で
酷くいやらしい顔をするから。
「んぁあ…っらめぇ、いっちゃ─、んんんッ!」
「く……っ!」
俺は、
これで──……。
─はぁ。
こんな事、
赤月にばれたら、只じゃ済まないだろう。
親友で、敵な奴と
俺が、こんな事を。
「シートちゃん、」
それでも。
「今俺以外の事考えてたんじゃない?」
「いや。」
「…妬けちゃうな。」
それでも、俺は、
「阿呆か。」
この手を離す気は、
更々無いのだ。
.......
あとがき。
初芝シトー!
いまいち芝くんの口調がわかんないですが
想像力で補って頂きたい←
芝シトは僕にとって結構斬新でした。
アンケートにあったので書いてみたんですが…
難しいですね;;
そして久し振りの裏。
思徒さま
いつもあんあん言わせてごめんね!←
本当貴方は萌え受けなのでついつい…;
精進します><
ではまた!