saloon

□yours
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「あー、もーぉ…」
「全く…最近違法ゾンビもいなくて暇ですねぇ由詩くん」
「ほんとだよー。あー、暇ー!」
「こちらとしては返済が滞る訳ですから困りますねぇ…はぁ、取り立ての方はうまく行ってます?」
「うん!ったりまえじゃーん、人様からお金借りたのに返せないような奴は東京湾にコンクリ詰めにして沈めちゃうよー」
「がッはッは、平和でいいねぇ」

蘇鉄が豪快に笑う。


シトは溜め息をついた。
何故この男はそんなに呑気でいられるのだろう。
違法ゾンビがこの頃めっきり見当たらないことは、自らの生命(と言っては語弊があるかも知れないが)の存続の危機に瀕しているということとほぼ同じだというのに。

…そもそも、由詩の発言自体平和なものか。

シトが呆れた目で目の前のデカい(色んな意味で)男を見ていると、

「なぁ、シト坊。」

蘇鉄がシトに声をかけた。


「暇なんだし──、少し出ないか?」

突然思い立ったように言われ、

「……」

シトは無言でいやだ、と伝えたつもりだったが、蘇鉄はそれをやったぁボク今ちょー暇してたんだよね是非行くよ、の意思表示ととったようで、

「なぁ?」

シトに向かってその器がデカ過ぎる笑顔でにっこりと笑ってみせた。









たすたす。
たすたす。

蘇鉄とシトは買い物を終え、エコバッグをぶら下げて並んで歩く。
近頃のゾンビローンでは、皆がチカによりエコバッグ教に(半ば無理矢理)入信させられた為、買い物に行くときにはエコバッグを持つのが常だ。


「──あのなぁ、あー─何だ、シト坊」

何か言いたいらしく、蘇鉄が珍しく少し考えている素振りを見せた。

「……」

シトは無言で促す。

「んー、じゃあ面倒だからズバッといくわ。
なぁ、お前さん、俺と付き合ってみないか?」

歩きながら、みちるにそう言ったときくらいの軽い笑顔で蘇鉄は言った。

「……何の冗談だ?」
「だーかーらー、マジでシト坊の彼氏になりたいんだわ」


信じられないような言葉に一瞬、空白が空く。

シトは立ち止まり、ぴきっと音をたてて固まった。

「本気か?」
「うん、本気だぜぃ」

蘇鉄は何の恥じらいもなく言ってのけた。

「いいだろ?」

そして豪快としか言いようのないさまで笑って、シトを見た。
シトも蘇鉄を見返す。
顔が赤くなる。





「……かつき、に訊けっ」




咄嗟にシトは口走っていた。

「?」
「だから…、赤月に訊けと言っている…っ」
「?なんでだ?」


蘇鉄が無神経ともとれるほどの鈍感さで問いかける。
シトは、脳髄がかぁっと焼けるのを感じた。


「…ぉ、俺は赤月知佳のもの、らしいからだ…」

シトは俯くが、見なくても蘇鉄の視線が自分に向けられていることがわかった。


「べ、別に俺はそう思っている訳ではないのだが!あいつが勝手にそう言っていただけだ!」
「……」
「それに大体、俺はあんな奴の所有物などでは無…っ」
「……」



蘇鉄はぽん、とシトの頭にこれまたデカい手のひらを載せた。



「シト坊」


蘇鉄は笑った。


「ちゃんと、言えるじゃねーか。良かった良かった」

「???!」


シトは何を言われているのかわからず、目を泳がせた。


「がッはッは、じゃあ俺今日実はこの後たっくさん予定が詰まってるから行くわ」

アディオス!とシトに豪快に片手を挙げ、蘇鉄は行ってしまった。






──少し、まだ頬が熱い。


シトは未だ訳がわからずそこに立ち尽くしていた。


「……」


蘇鉄と自分の言ったことを反芻して思い返す。


「……っ!」



シトはあることに思い当たり、はっとして顔を赤く染めた。



「…別に、そんな事しなくても」

ぼそ、と口走り。

俺は赤月が、と続けそうになりシトは再び顔を赤らめる。


ふーっ。

シトは大きく息をつくと、再び歩き始めた。





自称持ち主であるらしい、バカな運命共同体。

彼のもとへ、帰るべく。








.....



あとがき。


大変遅くなってすみません!!!
お、お久しぶりです妖です!(滝汗)

リクくれた方、誠にありがとうございます!
そしてすみませんでした!
遅くなり、その上訳のわからない駄文を!;;;

チカシト前提でソテツとシトの絡み!ということで頂きましたがどのくらい絡ませればいいのかわからずとりあえずソテツはシトのことを好きではないという設定にしておいたのですが;;

なんだか非常に申し訳ないので余力があるときにもっと絡ませたのを書きたいと思います!
チカシト←ソテツとか。

リク本当にありがとうございました!
感謝感謝の気持ちで胸がいっぱいです!

こんな管理人ですがこれからも宜しくお願い致します。


 

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