チカシトチカ



.....




誰もいない放課後の教室。
思徒は知佳に勉強を教えていた。

只今、四時半。
あと30分後に知佳は古典の追試。
刻々と迫るタイムリミット。

なのに、知佳は全く勉強をしていないという。

その為、思徒が仕方なく知佳に勉強を教えていた。

「ここの敬意は、作者から中納言への敬意。
そして、これは会話の中だから娘から中納言への敬意だ。」
「は?!おいシト今の何語?!
まじ、こんなの無理だって…」

知佳のシャーペンは全く進まず、思徒はかなり苦戦していた。

「じゃあ…、もっと簡単なところから説明する。
これは解るか?
(中略)
…つまり、ここの『こそ』が語尾の『ありけれ』に係っている、という訳だ」
「……。
はッ、俺そんな事元から知ってるっつーの!
そこまでシトみたいにバカじゃありませんー。
…んで、なんでここの文は文の終わりなのに『なかりけれ』なんだ?」



………。



それまで優しく(思徒的には)教えていた思徒の堪忍袋の緒が、ぶつっと音を立てて切れた。

「赤月!貴様は何でこんな初歩的な事も知らないッ!!」
「だってぇー、俺帰国だから古典とか苦手なんだもん」
「『もん』とか言うな気持ち悪い!俺だって中国人だ!」
「ちっくしょ、これが英語ならなー、
クソシトなんかに聞かなくたってこの知佳様なら満点だし?」
「残念だったな赤月。生憎、これは英語じゃない。そもそも貴様が追試にかからなければ良い話だろう」
「……ッ。こンの、クソシト!!」
「ん?それが人に物を教わる態度か?」
「そうだぜ、悪かったな!」
「はぁ、前から知っていたが…、貴様はよっぽど阿呆だと言う事か」
「ぁあ?オイコラてめェ、やるか?!」
「好いだろう、貴様に愚弄され続けるのも苛つく。」


ぎゃーすぎゃーす。
いつも通りの言い争い。
只今、5時15分前。







しばらくして。

「はぁ、くっそ…ッ」
「…っ、なかなかやるな…」

一通り争いが終わり、二人は息切れしていた。



「しゃーねぇ、もう疲れたし…教わってやるぜ」

二人が、また勉強を再開しようと席についた時。



──キーンコーンカーンコーン


大きく響き渡ったのは、5時のチャイム。

「行って来い。今なら間に合う。」

思徒が、超爽やか☆スペシャル外面スマイルを浮かべた。

「行ってきます…;;」





…あーあ、

知佳さん、




再試決定。





→ねくすと らびゆう


いつも有難うございます!(号泣)何かコメントありましたらどうぞ^^



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