ノベル

□※レンズの向こう側
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6月の晴れた日のこと。

「初めまして〜、新しく入部する桜谷颯斗と言います。1年E組です〜。宜しくお願いします〜。」

場所は変わった。
さあ、新しい高校生活の始まりだ。


「宜しくな、桜谷君。」

ニカッと白い歯を見せて手を差し出してきてくれた身長の低い先輩。2年でこのニュースペーパー同好会の副会長をやっているらしい。目はタレ目がちだけど大きくて可愛い先輩だ、というのが第一印象だ。


「俺は汐瑳っつーんだ。印刷とカメラやってるんだけど、桜谷はなにしたい?」

案外自由な同好会だな。と思ったのもつかの間。

「じゃあ…記者とかって出来るんすか?」

と希望を言った瞬間――一瞬、副会長の顔が曇った。微妙に動揺した後、俺と目を合わさず―…俺の後ろを見てる?

「ああ…まあ、出来ねーこともねぇんだけど…。」
「人数的問題…ですか?」
「いや、まあそうか?ウチではカメラマンと記者は2人一組なんだよ。」

ああ、カメラマンが足りないのか。

「あ…じゃあ、」

諦める。そう言おうとしたとき、副会長は続けた。

「パートナーを選ばないなら、出来るんだけど…どうだ?」

…選ばない?

「どういうこと、ですか?」
「…んー、まあ取っ付きにくいヤツでさ――アイオ。」

「……ん、」
うわァ!?
真後ろ!?いつの間にいらっしゃったんだ!?
驚く俺をしり目に、"アイオ"と呼ばれた彼は静かに俺の隣へ並んだ。
身長は、俺より少しだけ高いだろうか。こんだけじろじろ見ていてもコッチを見るどころか表情一つ変えない彼。
選ばない、の意味が少しだけ分かった気がした。

「コイツがアイオ。コイツとペアでいいならいいんだけど。」

いやいや本人目の前に断れないだろう。
「いえ…俺は別に選ぶとかしませんし…」

曖昧な了承を返すと、不安げだった表情が一気に明るくなって笑顔が見えた。やっぱりこの先輩は笑顔がよく似合う。

「そっ、か。じゃあ…」

"アイオ"先輩の背中をパンと叩くと、叩かれた先輩はゆっくり汐瑳先輩を見やり今度は俺へ目線を向けて小さく頭を下げた。慌ててオレも頭を下げたが、"アイオ"先輩はこっちを見ることなくさっきまでいた場所へ向かっていた。

それに慌てたのは俺ではなく汐瑳先輩で、ばたついた小走りで彼に寄ると、肩を引いて耳打ち。


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