やおよろず

□小噺[参]
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埃を払うようにパタパタと袖を揺らした烏天狗は、そのまま頬杖をついて、今度は鼻から息を吐き出す。

「鵺よ、今日は何の用じゃ」
「おう!そうであったそうであった」

ガツンと境内を叩いた足は、虎柄の足巻きを巻いた下駄履きへと変わっていた。
派手な柄物の着流しを着崩し、ほつれたような裾を蹴散らしてズカズカとやって来た鵺は、烏天狗の横へドスンと腰掛けた。
片方だけ引き千切られた袖から覗く黒布を巻かれた腕で、烏天狗の肩を叩く。

「天狗、貴様俺の国に来んか!」
「何じゃ…またその話か」

呆れたような表情で叩き落とされた手を見つめ、鵺は烏天狗の横顔を見つめた。
そうしてニヤリと笑った顔には懲りた様子など微塵もない。

「またその話だ!」




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