「斬散花」
□予知夢
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暗闇の中、私は無我夢中に息を切らしながら走る。
「はっ、はっ…。」
急がなきゃという意識が私の中にあった。
急がなくては、何か大切な物を失いそうで。
「はっ、はっ…も、もう駄目っ…。」
なけなしの体力が音を上げた。
何処からか来る意識が私の足を進ませていたが、
突如足がもつれて倒れてしまった。
「っ…。」
疲労した体が地面に投げ出されて、衝突した。
少ししてすぐに、体の各部に痛みが走る。
痛みに耐えていると、私が倒れた近くから
荒い呼吸と共に声がした。
「はあ…くっそ…。」
それは痛みに耐える様な男性の声だった。