「斬散花」

□予知夢
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私は誰なのかと疑問に思い、

渇いた口を開いた。



「だ、誰…?」



しかし息が切れ切れで、
ろくに、かすれた言葉さえも発せられなかった。


その声は勿論、その人にも届かない。


近くで誰かが苦しんでいるのに。



「血が止まらん…ここまでだ。」



怠い体を動かし、そちらを見ると

仰向けに倒れて、腹部に片手を宛てている人の影が見えた。


怪我をしているのだろうか。


手を伸ばしたが、届かない。


もう少しで届くのに

力が微塵も入らない。




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