おもちゃ箱
□その理由
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「飛段、お前が楽しいと言ったんじゃないか」
「そりゃ楽しいって言ったけどよォ、お前、そんなに大声で呼ばなくてもさー…///」
頬を赤く染める飛段。
オレには何故飛段が頬を赤くしているのか解らない。
「どうした?」
「…角都ゥー…///」
赤くなったまま一言オレの名を呼ぶ飛段。
飛段はチラチラと茶屋を見ている。
「なんだ…」
「いや…そのさァ…//」
明らかに茶屋に寄りたいオーラが出ている飛段。
「…仕方のない奴だ…寄ってやる」
「…!ホントか角都!?//」
「嘘をついてどうする…」
「よっしゃあぁああぁ!!!」
飛段はガッツポーズをしながら嬉しそうに飛び跳ねた。
「…フン」
「じゃあ行こーぜ角都ゥー!!!」
そう言うと、オレの右手を引っ張り茶屋に走って向かう飛段。
そんなアイツの目には、先ほど見た寂しそうな感情はなかった。
茶屋からほんの少ししか離れていないのですぐに店に着く。
オレが店の中に入ろうとすると
道に面した赤い長椅子に引っ張られる。
「角都はここに座んだぜェ!!」
「何処に座っても関係ないだろう」
「ここでオレの隣じゃなきゃダメだっつーの///」
奥の席ではなく
しぶしぶ表の赤い布がひいてある長椅子の飛段の隣に座る。
「ゲハハハ!!なんか楽しーぜェ!!///」
嬉しそうな相方の姿。
そんな飛段はまだオレの手を掴んだままだった。
「飛段…」
「……///」
赤面した顔を隠すためにそっぽを向く飛段。
そんな奴の手を、
オレはゆっくりと握り返した。
「!…か、角都…///」
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