三国無双短編集

□愛の証拠[U-18]
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「あなたは本当に私の事を想ってくれてるんですか?」
「あ?何だよ急に、想ってるに決まってんだろ」
「じゃあ何でこんな事するんですか?」
 陸遜は人の居ない所に連れ込まれていた。
「そりゃーお前が好きだから」
「ふざけないでください!」
 悪びれもせずに服を脱がそうとする甘寧を陸遜は思い切り突き飛ばした。
「そんな事言うなら証拠見せてください」
「証拠?」
「私を本当に好きだと言うのなら、ここから飛び降りるぐらいしてください」
 ここは船の上、しかも今は冬だ、我ながら無茶な事を言ったなとか、少し後悔していた陸遜の耳に水の音が届いた。
「ちょっと!何を…」
 陸遜は船縁に手をかけて海を覗き込む。
「これでいいか?」
 水面から顔出した甘寧が笑いながらそう言う。
「あ…わかりましたから、早く上がってください!」
 急いで梯子を降ろし、甘寧を引き上げる。
「こんなに冷えて…、すぐ湯編みの準備をさせてきますので…」
 そう言って走りだそうとする陸遜を甘寧が捕まえる。
「ここで暖めてくれよ」
 そう言いながら陸遜を引き寄せ、抱きしめる。
「ちょ…、やめてください。私まで濡れるでしょう!?」
「つれねーこと言うなよ。俺寒いのに」
 甘寧がじゃれつくように抱きついてくるので陸遜の服まで濡れてしまっていた。
 今は冬…
 それでも、冷たい甘寧の手に触れられたところがほんのり暖かい。
「寒いな、やっぱ」
 陸遜が大分ぼんやりとし始めた時に甘寧はそう呟いた。
「え?」
 問いかけも虚しく陸遜は簡単に抱き上げられた。
「実は湯編みの準備出来てんだよなー」
 甘寧は陸遜を抱き抱えたまま風呂場に向かう。
 
 風呂場についた甘寧は服を手早く脱ぐと陸遜の服に手をかける。
「何す…」
「お前の服も濡れちまってるからなー」
 甘寧は嬉しそうな顔をして服を脱がしていく。
「それはあなたが…」
「まあいいじゃねーか、一緒に暖まろーぜ」
 陸遜の抵抗もあっさりかわし甘寧は服を脱がし続ける。
「何かやらしい事考えてませんよね?」
 図星をつかれ、甘寧の手が一瞬止まる。
「…考えてたんですね…」
 ひきつった笑いをする甘寧に陸遜は大きなため息をついた。
「あなたという人は…しかたないですね」
 服にかかったままの甘寧の手を解き陸遜は自ら服を脱いだ。
「証拠も貰いましたし」
「よっしゃー」
「あ、でもここは嫌ですよ」
 しかし陸遜の言葉は甘寧には届いてないらしい。
 甘寧は楽しそうに陸遜の手をつかんで風呂場に入っていった。

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