★小説 処★

□太陽が嫌いな黄色
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今日は一段と晴れていた。


「先輩」


クルルは、さんさんと注ぐ日光をあびながら銃を磨くギロロに声をかけた。
ギロロは少しだけ手を止め、クルルのほうに振り返る。


「なんだ、クルル」

「今日はいい天気だなぁ」


クルルは日影から外を覗いて言う。


「そう思うんなら、外に出て来たらどうだ」

「クックック。俺はあんまり太陽が好きじゃないんでねェ」

「そうか」


ギロロはまた銃を磨く事に集中し始めた。それをクルルがつまらなそうに見ている。
そして、一歩だけ影から出た。


「こっち向けよ。先輩」

「用があるならそのまま口で言え」

「ちっ」


クルルは舌打ちして、また日影に戻った。そしてぽつりと呟く。




「だから太陽は嫌いなんだよ」




どうやらクルルの呟きは、ギロロには聞こえていなかったらしい。


「……つまんねェ」

「何か言ったか?」


クルルは、ギロロが自分のほうに振り返るまで無言を決め込んだ。
そして仕方なくギロロが振り返ると同時にクルルは言った。




「先輩よぉ、あんた太陽に当たりすぎてそんな真っ赤になっちまったんじゃねぇの?クーックックック」




ギロロは少しむっとしてクルルを睨む。しかしクルルはそれに全く動じない。



「同じ赤くなるんならよぉ、俺と目が合って照れて赤くなるとかのほうがいいと思うぜェ」

「馬鹿かお前は。俺が赤いのは生れつきだ!」

「ク……」


クルルが太陽が嫌いなのは、自分よりギロロを赤くさせる事が上手いかららしい。

照れたギロロの顔は、クルルの好物の一つなのであった。




END

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