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□振り返れば
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きっと
君の瞳に映りたかった‥
【振り返れば】
彼の笑顔を見た人はいないという噂は学校中に広がっていた。
いつも笑顔の人がいるかと思えば、こうやって笑わない人もいる。
本当にバラエティー豊かだよね、青学男子テニス部。
どんなに外ハネの人が楽しそうに跳ねても、漫才みたいな2年生コンビの喧嘩を見ても、データばっかりとってる人が変な発言をしても。
彼は笑わない。
そこまで頑なに笑わない理由って何なんだろ?
まさか、笑うと地球が滅んじゃうとか!?
あ、今のボケはなしにして、とにかく彼の信念だと思うんだけど‥
でも、きっと笑ったらカッコイイのに‥
口元だけ緩めた微笑でもいい。
君の次に強い人みたいにあんなにばっちり綺麗な完璧な笑顔ではなくていいから‥
少しだけでいい。
一瞬でいいから笑顔を見たい。
それに、きっとね‥
君の笑顔が見れる人は特別だと思うから‥
いつもの無愛想な表情、言葉に不器用な君の本音を垣間見て、そんな君の作らない笑顔を見たいって思うのはいけないことではないよね?
だから今日は少しだけ君を驚かせて、本当の君を見せてもらおう。
不意打ちの笑顔でも、今はいいから。
「国光!おはよ」
いつもは呼ばない下の名前で呼んで、背中を押して彼の前へ登場。
満面の笑みで彼に向かえば
笑ってくれるでしょう?
「‥おはよう」
一瞬、固まった彼は理解したようにふっと微笑んだ。
まさか、こんなことになるなんて。
自分の頬が赤く染まっていくのがまざまざと解った。
「ずるいよ、やっぱり駄目」
「‥何がだ」
「何でもいいじゃん」
君の笑顔は一撃必殺。
思わず抱きしめてしまいそうになるくらい‥
だから、やっぱりさ‥
そんな笑顔皆に見せないで。
君がくれる特権にしてよ。
End..
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