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□天才
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いつも
俺は奴に翻弄されてばかりだ
【天才】
俺様に勝てる奴なんかいねぇって思ってた。
少なくとも、今の今までいなかったんだ。
だが、たった今、いきなり出てきやがった。
「なぁ、忍足。てめぇなぜ俺様のコメンタリーを邪魔しやがった!!」
「ん〜?まだ根に持っとるん?物覚え良すぎなんとちゃう?」
「そんなことはどうでもいい。それよりも、だ。ちゃんと答えろ」
そう怒鳴ると奴は余裕の顔で微笑んだ。
‥なんか、負けた気がするのは気のせいか?
「せやから言うたやん。人気の関係上‥やで?何度も言わすな」
「そんな表面上の答えを望んでるわけじゃねぇんだよ!!」
「うわー、めっちゃ怖いで、跡部」
微笑んだ次はケラケラと笑いやがって‥!!
馬鹿にするのも大概にしろ!!
俺様のプライドが許さねぇ!
「グラウンド30周したいか?忍足」
そうしたら忍足は急に真面目な顔になって俺の肩に手を置いた。
‥拍子抜けする。
「なぁ、跡部」
「な、何だよ」
くそっ。
何で忍足なんかに気圧されてるんだ?
「お前‥」
たっぷり間を開けるからだんだんいらついてくる。
「早く、言え!」
「お前‥いつから手塚になったんや。気ぃ付かんかったで!」
‥ ア ホ か ! !
いや、ただの馬鹿かもしれないが。
ただ、真顔で言うことではないのは確かだ。
「馬鹿か、てめぇ」
「酷いなぁ、跡部。さ、着替え終わったし、行こか」
くるっと俺に背を向けてコートに向かう忍足。
数瞬後、はっと気付いて奴を追いかける。数瞬後、はっと気付いて奴を追いかける。
「さっきの質問に答えろ、忍足!!」
俺の言葉も虚しく、奴は鼻歌を歌いながら向日と練習を開始し出した。
俺の、初の敗北だった――――
End..