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□明日の俺様
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お前の優しさが
痛い‥
*明日の俺様*
対青学戦を終え、帰って来た部室。
一度諦めていた全国への夢。
東京開催ということで蘇ったその夢も、今日
儚 く 散 っ た
剃られた髪を確かめるように頭を触る。
‥宍戸みてぇな長さだな。
俺が越前に負けたから全国が終わったんだ。
その代償なら髪なんか短くなっても構わねぇ。
だが‥
終わっちまった夏に悔しさが滲む。
もう誰もいなくなった部室に独り、居続ける。
これが一年間俺が背負った氷帝男子テニス部。
そして、俺の責任で敗北した。
「‥くそっ!」
椅子に座り、手をを組んで頭を乗せる。
慣れてねぇんだ。
こんなプレッシャー。
「跡部」
いきなり呼ばれたことに、肩が震える。
少しだけ顔を上げて声のした方向を見れば、忍足がいた。
「‥忍足か」
搾り出した声に感情が溢れる。
こんな俺、見せちゃいけねぇんだ‥
そんな俺を見て、忍足は立ったまま口を開いた。
「跡部のせいとちゃうねんで」
「・・・・・」
「自分を責めたらあかん」
その言葉が、優しくて
その分苦しかった。
「何で誰も俺を責めねぇんだよ!」
責められない方がよっぽど辛い。
俺の実力を見限られたようで
同情されているようで
辛い。
「どないしてお前を責めなあかんねん」
「俺が負けたんだ!俺が負けたから‥」
悔しいが、一度溢れ出した激情は抑えられない。
弱さを見せるわけにはいかないのに‥
「責めらられなあかん試合やなかったで?ええ試合やった」
「・・・・・」
「独りでこんなとこ居とってもマイナス思考になるだけやで。帰ろうや」
視線を忍足に向けるとちょうど窓から夕日が入って来て奴を照らしている。
ふっと笑って差し出さされた手に何とも言えない安堵を覚えて奴の肩を借りる。
「落ち込んでても仕方ねぇな。今度は高校で頂点目指そうぜ」
「せやな」
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