novel?

□PUMPKINS' MOON
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明るい月が、にっこり笑っているような今晩。

月が笑う、だなんて、妙な表現かもしれない。
でも、今日だけは、怪物もお化けも、カボチャだって、笑い合って収穫を祝う日だから。
今日くらいは、こんな表現でもいいでしょ?

さぁ、おかしな夜のはじまりはじまり〜★


【PUMPKINS' MOON】


大きくて、キレイなオレンジ色のカボチャのバスケットに、大きなツバの尖り帽子。

くるんと回ると、ひらひら流れるような曲線を描くマントは、顎の下で蝶々結びに。
真っ黒の短めのワンピースとお揃いのブーツに身を包み、花のような笑顔を見せる国光を、お揃いの衣装を身に纏った景吾は満足そうに見詰めていた。
今日は、巷ではハロウィン、と呼ばれる日。

厳格な祖父の下で育った国光には馴染みが無い行事だが、今年は特別。
「景吾君のお母様が、ぜひにと国光も跡部家のハロウィンに誘って下さったのよ。」
と国光の母である彩菜が語っていたのは1ヶ月前のこと。

少し天然な所のある息子に、大切な、家に遊びに行けるような間柄の友達が出来たことがよほど嬉しかったのだろう。


そんな跡部家毎年恒例のハロウィンは、少々趣の異なるものであった。

曲なりにも跡部家はその名を世界にまで轟かす程の大財閥。
その一人息子をフラフラと、ご近所とは言えど回らせる訳には行かない。
そこで代替え案として登場したのが、広い、それはもう広い跡部家の中で、執事やメイド、庭師に至るまでの部屋を回り、可愛い台詞を唱えてお菓子を貰う、というものであった。
このイベントは、使用人達に面倒感を抱かせるかと思いきや、
「可愛い仮装をした景吾坊ちゃまが、部屋までお菓子を貰いに来てくれる!!」
と大反響であり、毎年使用人達は誰が景吾坊ちゃまを一番喜ばせることが出来るか!!
と白熱する、大人気のイベントなのであった。



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