novel?
□ため息の理由
1ページ/12ページ
誰にも言えない秘密がある。
ずっとずっと秘密にしている。
今までもこれからもずっと・・・?
【ため息の理由1】
幼い頃から、母から耳にたこができるくらい聞かされ続けていることがある。
「いい、国光。ビックリしたり、嬉しいことがあっても、絶対にお家の外で笑ってはダメよ。
お母さんと約束できる?」
意味がよく理解出来なくて、首を右側にコトン、と傾ければ、母が少し困ったように苦笑するのが目に入った。
「・・・ごめんね。国光にはまだ分からないわよね。難しいことをお願いしているのは分かってるの。
でもね、国光は「天使」なの。普通の人とはちょっとだけ違うのよ。
笑うとね、力が強く出過ぎて、人間には眩しすぎちゃうの。
それに羽が出ちゃう時があるのよ。
他の人には出せないから、みんなビックリしちゃうでしょ。
ねっ、国光、お母さんとお約束できる?」
・・・どうやら俺は「天使」というものらしい。
それがどういうものなのかはよく分からないけど、羽が出ちゃいけないっ、てことだけは何となく分かった・・・ような気がする。
「でもね、国光。一生ってわけじゃないの。ある時が来たら、国光もきっと、たった一人の大切な人に出会えるから。
その人の前では、「天使」だとかは小さなことよ。あなたを真っ正面から受け止めてくれる人。
早く、会えるといいわね・・・。」
真っ正面から受け止めてくれる人、って一体誰なんだろう?
いつ会えるんだろう?
聞きたいことはたくさんあったけれど、お外では笑っちゃいけない、という約束がとっても難しく思えて、きゅっと口を閉じて、力を入れることしか出来なかった。
(よしっ、今日はお友達の秀くんに、こちょこちょってされて、ちょっと笑っちゃったけど・・・明日からは頑張るぞっ!!)
・・・前途多難!?
next