novel?
□橙日和
1ページ/2ページ
コタツと蜜柑とカルピンと。
ゆったり流れる時間の中で。
一番暖かいのは、あなた・・・。
【橙日和】
「ねぇ、部長。」
「もう部長じゃない。」
「・・・名前を呼ぶのがちょっと気恥ずかしい男心なんス。」
「なんだ、越前?」
「だぁー、違う違う!!
『リョーマ』って呼んでって言ってるじゃん!!」
「お前が役職名で呼ぶ限り、お前はずっと『越前』のままだ。」
「ふーん、ねぇ、それってさ、名前で呼ばれたいってことだよね。
で、ちょっと拗ねてる、と。
かわいいんだから、国光さんってば。」
「・・・バカなことを言うな〃」
なんてやり取りを繰り返して、早30分。
自宅に国光さんを誘った土曜日の午後。
国光さんと庭でテニスをして、風呂にも入り、そろそろ・・・なんて不埒なことを考えていたら、母さんから留守番を頼まれてしまった。
・・・母さん、家にいたんだ。
俺の部屋で二人で過ごそう、と目論んでいたものの、国光さんは「客人が訪ねてこられた時に、すぐに対応できるように。」と言って、居間に留まったままだった。
いくら留守番だからって、国光さん真面目過ぎだよ。
そんな感じで、コタツで過ごすことになった午後。
当初の目的とは少し違った時間も、実は好きだったりする。国光さんを近くに感じられる会話も楽しいしね。
俺の前では、ちょっとだけ年相応の態度を示してくれるのも嬉しい。
膨らませた頬を手を伸ばして押せば、国光さんがくすぐったそうに身を捩った。
可愛い反応っ。思わず笑みが零れる。