novel?

□ため息の理由
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世の中には光が溢れているのに、何故俺の目には鮮やかに見えないのだろう?

きっと、それは・・・。




【ため息の理由2:side.R.E】



親父の気紛れでその地に足を下ろすことになった、母国日本。

別に何の思い出もないこの国に、そう大して思うところがある訳でもない。

これから通うことになるらしい中学・・・だっけ?
それだって、感想なんて制服があるのが面倒くさい、それくらいのものだ。

常にこのスタンスでやってきたし、別に今の所好きなことだって無い。
まぁ、テニスだって、やれば結果が付いてくる・・・その程度のもんでしょ?

だから、この先の日本での生活にだって別に期待してる訳じゃない。
まぁ、親父がやけに「青学」を推してたのは、ちょっと気になる所だけど、そんな理由じゃ癪だしね。



だけど、何だろ、この予感は。
何かが変わるような気がする・・・なんて思ってる。
俺もちょっとは、この新しい生活、ってのを楽しみにしているんだろうか?
そんな自分が少し可笑しい。

でも・・・、今日から始まる生活にほんの少しでもスパイスが加わったらなって思ってるのは事実みたい。
認めたくないけど。。





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入学初日・・・やっぱり大したことは無かった。
同じ制服着た奴らが、はしゃいでるくらいでさ、俺にとっては本当にどうでもいいことでしょ。
入学式だって結局寝て過ごしてしまった。
まぁ、担任の目が物言いたげなだけで、それだって俺にとっては「だから?」って感じ。

ホント退屈。


もう直、家に帰ろうかと思ったけど、親父に「テニス部の設備くらい見てこい」って言われたことを思い出して、まぁやる事も無い訳だし。
親父の言う通りに動いてるのが気の進まないとこだけど、少し見学していくのもいいだろう。
やること無いなら、テニスに関わることをしていた方がマシだしね。

俺はテニスコートのある方角に足を向けた。




流石に、入学式のあるその日にコートで練習をしている奴はいなかった。
設備だけ見て帰るか、とコートに背を向けた時、パコーン、パコーンとテニスボールを叩く音が聞こえた。
寸分の差も無く等間隔で響くその音は、とても小気味よいもので・・・音だけで分かる。上級者のそれだ。

思わず興味が湧き、音のする方に向かうと・・・信じられない・・・天使が、天使が確かにそこにいたんだ。





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