novel?

□Every day is anniversary.
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あぁ、もうバカみたいだ。
バカみたいに、あなたのことばかり考えてる。
そう、いつだって・・・。




【Every day is anniversary】





出会ってから、もう何回目になるだろう。
初めて〜した日、なんて全て記憶して、その度に内心はしゃいでいる自分が酷く幼く思えた。

国光さんは、きっと覚えていないだろう。
今日は、あの夏の日、全国大会が終わったあと、本格的にお付き合いを始めた俺たちが初めて、キスした日なんだ。

あぁ、本当にバカみたいだ。こんなことを後生大事に覚えてて、今でも毎年胸を高鳴らせているなんて。


今日は、そう、まさにその日なんだけど、珍しく二人のオフが重なって、こうして静かに微睡みの時間を過ごしている。
常に勝ち続けなくてはならない、厳しい闘いの世界で、この人の存在は支えであり、ライバルであり、恋人であり・・・、そして一番の理解者でもあるんだ。
いつも強く、厳しい姿勢を崩さない国光さんも、いつからか俺の前では力を抜いてくれるようになった。虚勢を張らない、素の「手塚国光」を晒してくれるようになったんだ。
そんな国光さんは、今こうして俺の隣りで、俺の肩に頭をもたらせて眠っている。二人分の体重を乗せたソファーは、ゆったりと曲線を描いて沈んでいた。
二人だけの時間。ゆっくりと過ぎるこの時間が何よりの宝物だ。

この記念日を国光さんに話したことは無い。何となく照れ臭いし、それに・・・何だろう、秘密にしておきたい、そんな気持ちもあるんだ。

肩にある、柔らかな重みを感じ、国光さんの顔を覗き込む。何度見ても、その度に美しくなる気がする、そんな愛しい人の寝顔。

その優しく空気を震わす唇に、そっとキスを落とした。触れるだけの、そんなキス。やたらと神聖な気分になった。

長い睫毛が少し震えている。覚醒が近いのだろう。




あぁ、本当にバカみたいにあなたに惚れている。

だから、本当は記念日なんて関係無いんだ。


だって、あなたと過ごす何気無い一日一日、その全てが俺にとってのanniversaryになるんだから・・・。





END
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