novel?

□艶色模様
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艶めく髪から透明な雫を滴らせ、真っ白な魅惑の肢体を覗かせる。

手塚が、羽織っていたバスローブを、ドアに背を押し付ける恰好で肩から落としたのだ。

色香を放つ真珠の様な肌には、所々に赤い花が咲いている。俺が付けた所有の印。

その痕を長い指で辿りながら、軽く撫でた後に、その指を食んだ。

瞳が楽しそうに細められる。


「菊丸。今日はお前に俺をくれてやってもいいぞ。
いるのか?それとも・・・いらない?」


ゴクリと、自分の咽が鳴る音がやけに大きく聞こえた。

完全に遊ばれてる。でも、こんな誘惑に敵うはずもない。

ドアまでの短い距離を我慢出来ずに、ソファを乗り越えて近付けば、あっと言う間に手塚は腕の中に収まった。

抑えられなくなった熱情を伝えるように、貪る勢いで唇を奪う。
飲みきれなくなった唾液が手塚の顎から喉元を伝っていく。それすらも惜しいとばかりに舌を這わせれば、小さく髪を捕まれた。

もっと欲しくて、抗議の視線を送れば、甘いのに甘くない台詞が俺に贈られた。


「こんな所で始めるなんて、堪え性が無いな。
・・・今日は特別な日なんだろ。」

「なーんだ、手塚分かってたの?
そんな素振り全然無かったからさ。じゃあ、手塚は俺への誕生日プレゼントってことでいいんだよね。」

意趣返しとばかりに辿った先の赤い突起をくわえれば、艶を帯びた甘い声が上がった。

俺の熱も上がってくる。

緩やかな快感に酔いながら、手塚が俺の髪に指を絡ませている。感じてくれているのが分かって、俺も気持ち良い。

激しくなる手塚の鼓動にしてやったり、という気が強くなり、俺は手塚へと声を発した。

「何だかんだ言ってさ、手塚もうこんなに感じてんじゃん。
ほんと、エロくなったよね。これじゃあ、どっちがプレゼントか分かんないじゃん。」

優位に立ったとばかりに得意気に告げれば、喘ぎながらも手塚は確かな声で返事をしてきた。

「ぁっん・・・、でも・・・こんな俺が、好きなんだろ?」

ドキリとする言葉に胸から顔を離し、手塚を上目遣いに見れば、高級娼館の遊女もかくや、という程の妖艶な笑みをたたえた手塚の表情があった。



もうお手上げだ。


こんな手塚に全部持ってかれてるんだから。


「・・・凶悪になっちゃってさ。
では、ベッドに向かいますか、お姫様。」


実のところ女王様とその臣下だよな、と思いながらも恭しく頭を下げれば、頭上から満足そうな声が注がれた。


「もちろん、連れて行ってくれるのだろう?
俺はプレゼントだからな、運ばれてやってもいいぞ。」




本当に、この愛しい人から離れられはしない。

不安は愛情の裏返しだし・・・何より、そんなこと考えてもなさそうな手塚を見ていたら、ありもしないことで悩む自分がバカらしく思えてきた。


今日の所は、この美味しそうなプレゼントに溺れることにしますか。


いつもと変わらない1日。だけど、最高にハッピーな1日。

ベッドに横たえた手塚にキスを落とし、俺は言葉でない感謝を表すために、手塚の眼鏡を外した。
甘い一時の始まりを予感させるように・・・。





End
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