novel?

□a few・・・
3ページ/3ページ



そっぽを向いた部長の首に手を回し、強引に引き寄せた。
そして、耳元で愛の言葉を囁く。-あなただけにしか、告げられない気持ち-

そのまま、先程の俺のように目を開けたままの部長の唇に音が出るようなキスをした。


「やっぱり、部長は俺にとっては綺麗なままだよ。
だけど、俺色にさ、少しは染めたっていいよね。
だって、・・・俺は既に部長色にこんなにも染まってるんだからさ。」

そう告げれば、部長も嬉しそうに微笑んだ。
いつだって、俺の一番の笑顔。

「では、それは必要無いな。
俺だって、いつもお前色なんだから。」

耳まで赤く染めて、耐えられないとばかりに速足で俺から離れる部長。

逃してなんてやらないからっ。
でも・・・部長っ、歩くのはやっ。


「待ってよ部長ぉー。
そんなっ、追いつけないじゃないっスかっ!!」

「追い掛けてこなくてイイっ」

「そんな可愛く無いこと言ってる口なんて、塞いじゃうからねっ。
毎日、キスしてやるー!!」

「バカっ、こんな所で叫ぶなっ!!」

思わず真っ赤な顔をこちらに向ける部長。
あぁ、可愛い、本当に可愛い人なんだからっ。
「あっ、部長。やっぱり捕まってくれる気なんだ。ちょっと速度が緩んでる。
へへ、またそんな顔してると、キスしちゃうっスよ。」

「っ。さっきまで恥ずかしがってたくせに。
お前なんか、置いていってやるっ。」


そういうと、部長は全速力で駆け出した。

最初からこの距離差で部長と俺とのリーチじゃ追いつけないよ。


全速力で走る部長を追い掛けながら、ずっとこんな感じで部長を追い掛け続けるんだろうなぁ、なんてぼんやりと思った。


あぁ、俺の天使はメガトン級!!
ずっとずっと追い掛け続けてやるんだからねっ。

「ぶちょぉー、大好きだよぉーー!!」


ますます部長の足が、速くなる。
お・追い付けない。

「好きだけど待ってぇー!!」

何だか自分自身が随分間抜けな気がするけど、まぁいいか。




結局、俺が部長に追い付いたのは、部長が自宅に駆け込んでからだった訳で。
玄関先での攻防戦は、顔の赤さよりも、寒さで凍える互いの手が赤くなるまで続いたのだった。





END
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ