紅い雲の夢
□違うセカイ
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目の前に広がる
赤い池
「………」
何も言わず
ただ、それを眺める
いつもは
自分を駆り立てるその赤さにも
今日は
何も感じない
「………」
手を伸ばし
指先をつける。
生暖かいそれは
指先をつたい、腕にまで垂れて来た
「……すみません」
その声は
伝わるはずも無い。
「私はここでのたれ死ぬのが一番ですが」
胸元から溢れ出る
赤
「どうやら、貴方と同じセカイには行けそうもありません」
重たい瞼
焦点の合わない眼
「貴方は弟のため…私は、それこそタダの犯罪者ですもんねぇ……」
無くなってきた
頬の土の感覚
「本当は……ずっと貴方と供にいたかったんですが………」
力の入らない体
「私、は……貴方より、
墜ちて逝きそう…ですから、ねぇ……」
天国や地獄を信じている訳ではありませんが
「イ…タチ………さん」
それでもずっと
貴方の隣りに居たかった
END
→後書きと言う名の後悔