がらくたばこ

□いつも3時に
2ページ/6ページ


「…よぉ、隊長」
モニター越しに、見る隊長の顔。

「クルル〜!あ〜け〜て!」
ガキっぽく、ラボの入口を叩く隊長。
「ククッ…がきっぽ」
そう言って、右から37番目のボタンを押す。
シャッターが開くと同時に、ラボの奥まで駆け込んで来る。
「クルル〜〜♪」
隊長が、変に甘えた声を出してくる。
こう言う時、二言目には
何を言うか 俺は知っている。

「ククッ、良いぜぇ」

隊長が、音声を発する前に返答を返す。

「へ?あの、クルル 我輩まだ、何も言ってないんですけど。」
おどけた表情で言う隊長。

「クック〜、どうせまた、下らない侵略作戦に使うメカでも依頼しに来たんだろう?」

俺は、にやつきながら
隊長の顔をみた。
椅子が高く、隊長を見下ろす形で。

「ゲロッ、そこまでお見通しでありましたか。
……あれ?クルル?今、
下らない侵略作戦って…」

「で、どんなのが欲しいんだぃ?クックック〜」

「エ?えーっとでありますなぁ…」


――本当の事を言うと
俺は、こうやって隊長が――
俺目当てにここに来てくれる事が、嬉しかった。

メカ造りの依頼。
本人にとってはそれだけの事だろうが、
俺としては、とても…
愛しかった。

隊長は、毎日暇潰しにラボに来る
だが、そんなんじゃなくて、時々 侵略作戦に使う兵器の依頼に…
俺と話しに、ここに来てくれていると思うと、何だか
顔がほてった。

「と言うわけであります!」

「クック〜…分かったぜぇ」

大方仕事の話も終わり、
カレーでも出そうかと思ったが
「それでは我輩、まだ手伝いがあるので、あとできるだけ急いでヨロシクであります!」
と言って、隊長はラボを出て行く。

く…
小さくなって、離れて行く背中に伸ばしかけた自分の手を 引っ込めて自分の額に固定する。
「ククッ…了解。」

誰に言うでも無く
自分ですら聞こえないほどの、小さな声で言った。



その晩

ラボからは、機械音以外の、鉄を溶かす音が聞こえた。
一週間あれば、出来る。

俺の計算に間違いは無い。
この作戦は、一週間後の丑の日に乗っ取ったものらしい。
だから、この一週間中に作らなくちゃならねぇ。

「クルルさーん?」
ラボの外から、
聞き慣れた声が聞こえる。
「ん〜?」
生返事をする
「お夜食持ってきました〜」
モアの顔が、画面に映ってはいるが、観ない。
作業に集中する。

「ああ、その辺においとけ」
また… 生返事

「少しは寝ないといけませんよ」

「ん………」








「ノルマ終了が朝か…」
散らかしまくった機材の破片を見つめて言う。

「こりゃ一週間全部徹夜だな…クックック〜」




 昼3時
「クルル〜♪」
隊長は、今日も呑気な顔して、ラボまでやって来た。

「よぉ…隊長」
昨日と同じ挨拶。
ボギャブラリーが低いとか言うなよ。

「どう?メカの方は
どれぐらい進んだ?」

そう聞いてくる隊長に
「こんだけ。」
と言いながら、メカの設計図を渡す。

「ーーー!!??」

隊長が、息を飲む。

「………く?」

俺は隊長の反応をみる。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ